22話 ページ22
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『私、妹を殺したの。』
その言葉を聞いて驚きはしたものの、何故か納得している自分がいる。
今までの不可解な出来事が全て繋がった気がした。
『大好きな妹だったの。すごく可愛くて、優しくて……誰よりも大切な存在だった。』
Aちゃんの声は震えている。
それでも、必死に言葉を紡いでくれた。
『私は、あの子を愛していた。』
それは紛れもない事実なんだろう。
だからこそ、辛かったんだろう。
苦しんだんだろう。
悲しかったんだろう。
それでも今、君は強く生きている。
『それなのに殺しちゃったの…！！みんなは事故だって言うかもしれない。けど！私には……私にはそう思えないの…』
嗚咽混じりに吐き出される懺悔のような告白。
それをただ聞くことしかできない自分がもどかしい。
プールの外から祭り帰りの子供たちの楽しげな笑い声が聞こえてくる。
その時、ふいに思った。
これが君と過ごす最初で最後の夏になるかもしれないと。
『忘れられない。耳から消えてくれない。頭から離れない。いつまでも心の中で反響する……カップの割れる音、妹の悲鳴、地面にぶつかる鈍い音……全部、全部……！！』
Aちゃんは泣いていた。
まるで子供のように泣きじゃくりながら、胸の内を曝け出していた。
その姿は、とても弱々しそうで、壊れてしまいそうに見えた。
だけど、不思議と綺麗だと思えた。
Aちゃんは、ゆっくりと顔を上げて空を見上げる。
月明かりに照らされた横顔はとても神秘的で、思わず目を奪われてしまうほどだ。
『私は……！！』
彼女が何かを口にする前に、俺は人差し指をそっと唇に押し当てて微笑む。
それから、もう片方の手で頭を撫でてやった。
大丈夫だよ、何も言わなくて良いんだよ。
そういう意味を込めて。
すると、Aちゃんの目からは更に大粒の涙が溢れ出した。
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作者名：おふとん天使 | 作成日時：2023年7月11日 8時
