18話 ページ18
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「Aちゃん、浴衣似合ってるで。ほんまに可愛い。」
ストレートすぎる彼の言葉は私の心に突き刺さっていく。
照れくさくて、恥ずかしくて何も言えずにいると、不意に手を差し出される。
その手の意味がわからなくて首を傾げると、苦笑いされてしまった。
それから、優しく手を握られて、屋台の方へと歩き出す。
私はりんご飴を買った。
1番好きな食べ物だ。
甘い味が口の中に広がって幸せな気分になる。
隣では、湊くんがたこ焼きを食べながら歩いている。
その姿が妙に絵になっていて、思わず見惚れてしまった。
『たこ焼き美味しい?』
ふと、疑問に思って聞いてみると、満面の笑みを浮かべた彼から返ってきた言葉は予想通りのものだった。
「めっちゃうまい!Aちゃんも食べる?はい、あーん……」
差し出された爪楊枝には一口分のたこ焼きが載っている。
それをそのまま食べろということなのだろう。
これは間接キスになってしまうのではないかと思って躊躇していると、彼は不満げに口を尖らせる。
そして、半ば強引にたこ焼きを口に押し込まれた。
『むぐ……おいひぃ。』
口の中に広がるソースの風味が食欲をそそる。
熱々だったので火傷しないように注意しながら咀噛すると、中に入っているタコの食感がとても心地よかった。
その後も、色々なものを買って食べたり、射的をしたりして楽しんだ後、私たちは花火がよく見えそうな場所を探して歩いた。
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作者名:おふとん天使 | 作成日時:2023年7月11日 8時