13話 ページ13
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トボトボと学校に向かい、なんとか保健室にたどり着いた。
先生に事情を話してベッドを借りた。
カーテンを閉めて、布団の中に潜り込む。
少しだけ休んだら勉強を始めようと決め、目を閉じた。
それからどれくらい経っただろうか。
誰かがベッドを仕切っているカーテンを開ける気配を感じて、ゆっくりと目を開いた。
「おはよう。天野さん、先生今から出かけるんだけど…人が来たらそうやって伝えてくれる？」
保健室の先生は優しいから好きだ。
私は布団の端を掴んだまま小さくうなずいた。
「ありがとうね。」
そう言って先生は出掛けていってしまった。
私はベッドの上で膝を抱えて丸くなる。
しばらくそうしていると、再び睡魔に襲われ、抗うこともできずそのまま眠りについた。
ガラガラッという音で目が覚める。
どうやら誰か人が来たようだ。
先生がいないってことを伝えてあげなきゃと思い、体を起こすと、そこには湊くんの姿があった。
「……Aちゃん。」
血の気が引いていくのを感じた。
彼が私の名前を呼んでいる。
彼の顔を見ることができない。
逃げ出したかったけど、足がすくんで動けなかった。
湊くんの足音が迫ってくる。
そして、目の前までやってきた彼は私に問いかける。
「大丈夫？」
たった一言。
だけどその一言で、私の心の中の何かが崩れ去ったような気がした。
今まで必死に積み上げてきたものが、音を立てて崩れ落ちてゆく。
湊くんに心配されたくなかった。
優しくしないで欲しかった。
だって、もう戻れないから。
これ以上好きになったら、離れられなくなってしまうから。
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作者名：おふとん天使 | 作成日時：2023年7月11日 8時
