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🌕EP.164《比翼》の絆 ページ26

「オレはそんな事、絶対に認めないからな!お前の弱気な言葉なんて聞いてやらねー!ここで頭を冷やして、しっかり生き残る為の気合いをいれ直せ!」

エレンはそう言って、勢いよく立ち上がると、

「帰ったら必ず言い訳させてやる!」

と私の目の前に指を突き出しながら怒鳴ると、憤懣(ふんまん)やるかたないといった様子で兵舎へと戻っていく。

「私も、エレンと同じ気持ち。Aは生き延びる事だけ考えて」

と言うと、ミカサはエレンの後に続いた。

「A・・・」

最後まで、私の事を心配して残ってくれていたアルミンに、1人でもう少し夜風にあたっていたいと伝えると、彼は頷いて兵舎へと戻っていった。



そして3人が去った後、1人で考え込む私の横にアーチャーが姿を現した。

私は彼に正面から向き合うと、

明日、状況によっては宝具を使う事になるかもしれない。今の私でそれができる?

そう問いかけた。

「難しいだろうな。だが・・・そうだな。令呪を使えば・・・それも可能になるやもしれん」

令呪を使う・・・。

静かに響く彼のその言葉は、やはり私達がこの世界に(とど)まる事への最後を、残酷にも明確に示していた。


そうか・・・


ため息と共にそう呟く。


分かった・・・もしそうなったら、許してほしい


令呪が失くなれば、そこで私もアーチャーも終わり。

「随分としおらしいな」

そんな私の態度にアーチャーが茶々をいれる。

私は、その赤い従者の鋼色の瞳を真っ直ぐに見つめながら言った。


アーチャー

私はここに来て、沢山のものを得て、そして沢山の人達と別れた

元々あそこで終わると思っていた命だ

それがここまで来られたのは、

アーチャー、そしてエレン、ミカサ、アルミン・・・
サシャ、コニー、ジャンにヒストリア。兵長、ハンジさん、エルヴィン団長や、今はもういない、沢山の人達のおかげ

そして、

いま私は本当に沢山の幸せを持っている

だからこそ・・・今の自分に出来る最大限の事をやるつもりだ


と告げた。


それは、つまりはアーチャーに、私と一緒に死んでくれと言っているようなものなのかもしれない。


だが、目の前の従者は私の言葉に、何も口を挟まず聞き入ると、一言。


「ああ・・・A。君がそう望むのなら」


と言って頷いてくれた。


ウォール・マリア奪還作戦、それはとても厳しい戦いになるだろう。


私は本当に、その作戦中に消えるのかもしれない。


だけど、未練はない。

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作者名:kokubyaku | 作成日時:2019年9月18日 19時

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