乾いた地より見る月はVol.5【進撃の巨人×Fate/EXTRA】 (ページ20)

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🌕EP.158 ページ20

出会った時の印象が悪かったのか、リヴァイ班の同期メンバーの中で、エレンだけはあれ以来、アーチャーの事をお前と呼んで突っかかる。

「離れるといっても大した距離ではない。それに、仔牛くらいからなら、お前でもマスターを守れるだろ？」

アーチャーがいつもの憎まれ口で返した。

エレンがそれに対して怒って返すというのがいつものパターンなのだが、そこで黙ってしまうところがやはり、元気がないと感じる。

そして、そのミカサの圧力とアーチャーの発言を受け、ヒストリアは納得したのか、

「じゃあ、３人で探してきてもらえる？さぁ、ノア、私たちは中で待ってようね」

と言って、ジャン、サシャ、コニー、アルミン、アーチャーと共に中へと入っていく。

その後ろ姿を見送った後、

さぁ、じゃあ手分けして探そうか！

気合を入れてそう言う私に、ミカサは、

「A。私は１人の方が動きやすい。エレンも疲れてるし、２人ともゆっくりくるといい」

えっ。大丈夫だよ。私達も───

と話し終わる前に、ミカサは猛スピードで林へと向かって行った。

その性急さと、なんともミカサらしい独特の気遣いに、私とエレンは思わず顔を見合わせる。

なんだか昔に戻ったみたいに楽しくなって自然に笑い合った。

と、ここまでなら、微笑ましいエピソードだったのだけど・・・

ここから波乱の展開が巻き起こる。

先に行ってしまったミカサの後を、ゆっくりとエレンと並んで歩く。

エレン・・・もしかして、一人で無理してんじゃないの？

その顔を、ジッと覗き込むようにしながら聞いた。

ふと、礼拝堂での弱気な顔がよぎった。

「してねぇよ」

強がるように、そう言ってフイっとあっちの方向をむいてしまう。

エレンはそう言うが、きっと一人で抱え込んでしまっているのだろう。

硬質化を手に入れた事で、全人類の希望というものが、自分一人の肩にのしかかる。

やらなきゃしょうがない。

だけど、その重さ、怖さがないはずはない。

その鼻をいつかのカルラさんを真似て、ギュッと摘む。

「いて！なにすんだよ！」

嘘ついてる

私のその言葉に、エレンはハッとしたようにこちらに顔を向け、何か言いかけた時だった。

ガサガサと数メートル先の草むらが揺れ、２人してそれをじっと見ていると、その草むらから仔牛が飛び出してきた。

え！？

仔牛は、片足で地面を何度か蹴り付け、狙いを定めたように、鼻息荒く、私達の方に向かって突進してくる。