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🌕EP.154 ページ16

「お化けですかね」

同じく顔を引きつらせたサシャが話す。

「バカ!そんなもんいるわけねぇだろ!」

ジャンの言葉に、

「なら、アーチャーのやつはどうなるんだ?」

出たり消えたりするんだから、お化けとたいして変わんないだろとエレン。

「じゃあ、本当におばけ・・・」

サシャとコニーの顔がますます青くなった。

その時、ノックに続いてハンジさんが入ってきた。

「良かった、もう大丈夫だね」

ハンジさんにもお礼を言う。

「おっと・・・これはもう少し後で来た方が良かったか」

「長居するわけじゃねぇ。かまわねぇだろ。多少狭くて鬱陶しいが・・・」

と、団長と兵長まで入ってきて、その後ろにはアーチャーも。

手狭な部屋は一気に賑やかになる。

「心配して来てくれるのは有り難いが、マスターはまだ病人なんだが?」

パスが繋がっていると分かった時点で、大丈夫だとは思っていたが、その顔を見てさらにほっとした。

「そもそもは、お前がそうやって甘やかすのが問題なんじゃねぇのか?」

だから川に落ちると続ける兵長に、

「それはマスターの習性で、私のせいではない」

と返す。

なんだ。その習性は

思わずそう答えていた。

勝手に変な習性を付け加えないでほしい。

「それが、Aの不注意じゃないらしいですよ」

まだ青い顔のサシャが囁くように言うと、

「え?どう言う事?」

とハンジさんが興味津々に食いつく。

サシャから話を聞いたハンジさんが、

「えー!本当なの!それってお化けって事?気になるー!」

そう言いながら私に近づいてくる。

今日も相変わらず、顔が近い。

「落ち着け。ハンジ。アーチャーも言うようにAはまだ病人だ」

と団長がハンジさんを引き離し、皆で笑い合った。

その光景に、昔のエレンの家での出来事が思い出され、同じ温かさが胸に宿る。

本当の平和は依然として訪れていないし、まだまだ問題も山積みだ。

しかし今この時、アーチャーが、大事な家族が、友達が、心配してくれる上司までもいる。

完全ではないようだが、セラフでの記憶が戻って改めて思う。

なんて幸せなんだろう。

それはまさに奇跡のようだ。

ガヤガヤと賑やかな今、この時を目に焼き付ける。

幸せなこの時間を忘れないように。

胸に刻み込むように。

皆が帰った後、アーチャーから眼鏡が見つからなかった事を聞かされた。

ショックは大きかったが、今日の出来事を思い出しながら思った。

眼鏡がなくても私はきっと大丈夫だ、と。

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作者名:kokubyaku | 作成日時:2019年9月18日 19時

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