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「さぁA君、治験の時間だよ！」
まるで今からパーティでも始まるかの様に明るい声で呼びかけられる。
あの二人の会話の後、突然手枷と目隠しをさせられ運ばれたかと思うと目を開けるとそこは実験室だった。
『あの、治験って言葉の意味分かってます？』
「医薬品もしくは医療機器の製造販売に関して、医薬品医療機器等法上の承認を得るために行われる臨床試験のことでしょ？」
なに当たり前の事聞いてんの？とい言う様に首を傾げて答えられる。
『いや、どう考えても医薬品医療機器等法上の承認を得るための臨床実験では無いですよね？』
「じゃあ自主臨床実験って言った方が良かった？でもやる事は同じだから良いでしょ」
僕が訂正した事に気に食わなかったのか投げ捨てる様に言い直しながらも部屋中を右往左往して何かの準備を進める。
さて、今回はどんなヤツを飲まされるんだろ。頭痛だけのだったら良いなぁ。
思い返せば自分はよくここまで生きてたと思う。昔は何かの薬を飲んだら頭痛は勿論目眩や吐き気は茶飯事だった。特に酷い時なんか幻覚が見えてた気がする。
「じゃじゃーんこれは凄く画期的な薬だよ」
見せられのは見慣れない赤と黄色のカプセル。それが３錠。
『画期的？即効性のある自白剤ですか、それとも天国でも見える様になるんですか？』
「嫌だなぁ君にそんな物を飲ませる訳無いよ。これは記憶を消せる薬。君の為にこの三年間をかけて作ったんだよ」
『僕の為？』
「だって君僕の前ではいつも笑っていても憂いを帯びた顔してるでしょ？
優しい君だからきっと弟君とかの事を心配してそんな顔をするって思ったから、その記憶を綺麗さっぱり消して僕に本当の笑顔を見せて欲しいなって。
それに薬だったら外傷が酷くても関係ないからね」
その言い方は何の悪気も感じられず、冗談ではなく本気でそう願っているのが分かった。
コイツ、本当に狂ってる。僕の笑顔が見たいからグルッペン達の記憶を消す？そんなの絶対嫌だ。
逃げようと、そう思っても手枷と折れた足がそれを阻んだ。
「駄目だよ？無理に歩いたら悪化するし、ここからは逃がさないよ」
そう言うとグリエーフは僕の方へ段々と近づいて来る。
必死に抵抗しようと口を閉じるけど次第に口が開いていく。そして完全に開いたかと思うと、突然上から激しい揺れと爆発音が聞こえた。
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raaami - これ本当に神作でした。爆笑したり涙目になりながら見てましたｗ (2021年11月18日 21時) (
レス) @page21 id: 0c25e5a716 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 面白い！！！！！好きです！完結スッキリしたw (2020年3月24日 15時) (レス) id: df7125e07b (このIDを非表示/違反報告)
月歩 - でぃちゃさん» 気付くのが遅くなってすみません。でぃちゃさんの言う通り「時より」ではなくて「時折」でした！教えて頂きありがとうございます！ (2020年3月16日 19時) (レス) id: 55b2340671 (このIDを非表示/違反報告)
でぃちゃ(プロフ) - 作者様の書く物語に一喜一憂しつついつもとても楽しく読ませていただいています。ところで、もし間違いなら私の浅学を笑って頂ければと思うのですが時たま「ときより」という表現を見かけるのですが「ときおり(時折)」の間違いかと。これからも更新楽しみにしています (2020年3月13日 19時) (レス) id: 0e9c842430 (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 面白い物語をありがとうございました (2020年2月16日 3時) (レス) id: 73c5ecbfda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月歩 | 作成日時：2020年1月30日 22時
