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14話 ページ16

SAT射撃訓練場
人型に向かってライフルを撃つAの様子を、裏の部屋で見ていた蘇我に中丸隊長が声をかけた。
中丸「相変わらずいい腕をしているな」
蘇我「中丸隊長・・・」
中丸「お前の腕といい勝負だな」
蘇我「ですが、Aは必ず一撃目を外すんです。どの大会でも・・・」
中丸「試してみるか」
蘇我の言葉に被せ、中丸隊長が横目で見ながら聞く。
蘇我「えっ?」
中丸隊長は何も言わずに、Aの方へ歩いていった。
中丸「A」
ちょうど区切りがついたAに声をかける。眼鏡を外しながら振り向いたAが笑顔で応える。
A「中丸隊長!お疲れ様です」
中丸「久しぶりにお前の実力が見たくてな。やれるか?」
A「えっ、いいですけど。どうしたんですか、いきなり」
中丸「・・・準備しろ」
そう言うとまた裏の部屋に戻って行った。頭にクエスチョンマークを浮かべながらもAは準備をする。
蘇我「隊長?」
中丸「必ず・・・毎回一撃目を外す事に、疑問を持ったことはないか」
中丸隊長の言葉に蘇我は少し考えて、何か思い付いた様に目を開く。
蘇我「・・・っ!まさか、そんなことが?!」
中丸「まぁ、見ていろ」
準備が出来たAを見てスイッチを押す。100m先から標的が床下からせり上がり、板が回転すると500円玉と同じ大きさの標的が現れる。同時にライフルの発砲音が響いた。
蘇我「っ!」
標的は寸分狂いなく、ど真ん中を撃ち抜かれていた。Aを見ると、今まで見たことのない様な冷たく鋭い瞳をして、狙撃手独特の呼吸をしていた。二時間かけ、計5回行ったが全ての標的が中心を射抜かれていた。
中丸「これがあいつの実力だ」
蘇我「何で・・・」
中丸「わからん。わからんが、あいつは大会ではわざと一撃目を外していた」
蘇我「・・・」
片付けているAの姿をただただ真っ直ぐに見つめる蘇我に中丸隊長が声をかける。
中丸「今日はもう遅い。送ってやれ」
蘇我「・・・はい。失礼します」
一礼をして部屋を立ち去る蘇我の姿を見ながら呟く。
中丸「心に鬼を飼っているのは、お前だけではない・・・」
その言葉は、誰もいない部屋に悲しく響いた―――

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マナ - 雪華さん» こんにちは…聞いてもいいですか? (2021年7月17日 10時) (レス) id: 961826b387 (このIDを非表示/違反報告)
雪華(プロフ) - M・Sさん» ありがとうございます!こんな作品を面白いと言ってくださって!頑張って更新していきます!! (2014年6月8日 18時) (レス) id: 017fc2355a (このIDを非表示/違反報告)
M・S(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました!続きがきになります!続編頑張って下さい、応援してます! (2014年6月8日 17時) (レス) id: f9726902e1 (このIDを非表示/違反報告)
愛歌(プロフ) - 続きが気になります♪更新頑張ってください! (2014年6月6日 0時) (レス) id: 6931f89d5d (このIDを非表示/違反報告)
茉乃音 - 面白いです!これからも頑張ってください!!応援してます!! (2014年6月2日 18時) (レス) id: 0d8e8f0117 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪華 | 作成日時:2014年5月20日 17時

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