異世界で勇者になったが魔王可愛すぎて倒せねぇｗⅡ (ページ3)

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聖剣と魔族ページ3

―？？？―

我が主がぐっすりと眠り込んでいるのを見届けて、私は地下牢へと急いだ。

地下牢には、1人の魔族が捕らえられていた。

囚人は魔族と人間の混血。

見た目は殆ど人間に近い。

ただ、人間ではありえない程の魔力量で、
この者を捕らえる為に何十名もの屈強な兵士が犠牲になった。

魔族としては若輩の、それも混血の者1人に。

魔族の弱点は聖なる力。

けれどその力を行使出来る者は大陸中でも100名に満たない。
それも、自分の身を護る分しか使えない者が殆ど。

聖なる力をこめた剣、聖剣でしか上位魔族は倒せない。

聖剣には聖女の全聖気よりも多くの聖気がこめられている。

聖女というのは聖気を一般人の10倍以上体に宿す巫女のこと。
聖女は1000人に1人しか生まれない。

その聖女ですら上位魔族と戦うには心許ないのだ。

つまり、上位魔族を倒すには聖剣は必要不可欠。

聖剣はこの世界に3本ある。

1本はこの国の国王が勇者Aに授けた聖剣ドュランダル。

切れ味でこの剣に勝るものはなく、ダイヤモンドですら真っ二つ。
使いこなすのが難しいが魔王を斬るのに相応しい剣だ。

1本は聖剣エクスカリバー。

アーサー湖の奥底に眠っていて、その鞘を身につけていると魔法を全て跳ね返す。
不思議と手になじみ、勝利の鈍器とも呼ばれる。

最後の1本は聖剣アルストロメリア。

他の2本と違い女にも扱える殺傷能力の低い剣。
しかしこめられた聖気は一番多く手にしているだけで魔力が増幅するとされる。

聖剣アルストロメリアが王都の教会にあるという噂がある。

この者は昨晩、それを聞きつけ聖剣を盗もうと教会に忍び込んだのだ。

自分の命を脅かす剣を献上すれば魔王が喜ぶと思ったのだろう。

聖剣などありはしない。

噂の出所はわかってはいないが、そんな噂を信じたこの者も愚かだ。

けどおかげで助かった。

混乱に乗じて私は牢から抜け出すことが出来た。

鉢合わせしてしまったメイドを殺しそいつに成りすましている。

「ここからだしてあげましょうか」

囚人がバッと顔をあげた。

「私もあなたと同じ魔族･･･私は勇者を殺したいの。
協力してくれるなら、だしてやってもいい」

囚人は、私の期待通りの答えをだした。