君と見た世界 (ページ5)

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郁「じゃあ、今日はここまで」

郁人くんが出ていくと、一気に騒がしくなる教室。前の席の子はもういなくなってたけど、今度は静かに机を元の位置に戻した。

「今日もうこれで終わりなんだっけ？」

勝「そうだよ。どこも新入生歓迎会の準備があるからね」

「うわ大変そう」

勝「4月の宿命」

中「ホームルーム始めるで〜」

いつの間にか来てた中間先生が教壇に立つと素直に席に戻ってくクラスメートたち。先生の言うこと聞くのえらすぎない？さすが名門校だよ…。てか、前の席の子いつの間に戻ってきたんだ。

中「連絡は以上やで。今日もお疲れさん。ほな、また明日な」

中間先生って優しいお母さんみたいだよね。関西弁も相まってすっごい和むわぁ。

優「Aくん！」

「え、あ、はい？」

あまりにも勢いの良い子に話しかけられて思わずどもったよね。

優「俺は岸優太。クラス委員なんで、これからお世話になるけど、よろしくね！」

「こちらこそよろしく」

お世話になる…それはどちらかと言うと僕のセリフでは？岸くんはお世話するほうだと思うんだけど、人のいい笑顔に言い返す気にはなれないんだよな。

優「挨拶が遅くなっちゃってごめんね。ずっと勝利が張り付いてたから」

勝「失礼な。困ってるだろうAを助けてたんだわ！」

「うん、助かった。ありがとう」

優「本当なら俺の仕事なんだけど、トイレ行ってる間に勝利に奪われちゃって」

勝「岸が鈍臭いから」

勝利が今日1楽しそうに話してる。岸くんとめちゃくちゃ仲良いんだろうな。

???「勝利おいで」

勝「はいはい」

突然、どこかで聞いたことのある、よく通る声が勝利のことを呼んだ。勝利がどこかめんどくさそうに席を立ったのにつられ、振り返って驚く。今日出会った中島先輩、菊池先輩、聡、マリちゃんがいて、その後ろにはものすごい数のギャラリーが出来ている。呼ばれた勝利は、誰もいなかった菊池先輩の隣に立った。それがめっちゃ馴染んでるから、多分そこは元から勝利の場所なんだろう。

「てかギャラリー親衛隊並じゃん」

優「うん、ほぼ親衛隊だよ」

「マジか。男ばっかなのに？」

優「ここの伝統だから。Aくんもすぐ出来るよ」

岸くん冗談キツすぎ…。平々凡々な僕に親衛隊とか有り得なさすぎるわ。