君と見た世界 (ページ36)

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大「Aくんあーん」

「え、あ、あーん？」

隣の席に戻ってきていた京本先輩がいきなりスプーンをこちらに向けてきたよ。あーんって言われると、戸惑ってても口開けちゃうもんなんだとビックリですね…。

大「どう？」

「めっちゃ美味しいです！！！」

大「でしょ？これバラ味なんだって」

バラ味のゼリー･･･。焼肉屋なのにシャレオツなもんあるな…。

「どーりで高貴な味がする訳ですね！」

北「高貴な味ってどんなだよ」

「いやホントに高貴な感じがしたんだって。北斗も一口貰ったらわかるって」

北「え。…いやいい」

一瞬京本先輩の方を見たものの、気まずそうに目をそらす北斗。え、なにこの空気。

樹「困ってる？」

「めっちゃ困ってます」

救世主のように現れた樹先輩が口を挟んでくれた。

樹「ここ仲悪いのよ。苦労かけてごめんね」

北「仲は悪くない。馬が合わないだけ」

いやそういうのを仲が悪いと言うのでは…？大体みんな仲良いし不仲とかあり得ないと思い込んでたわ…。

「めっちゃ言い訳するやん…まあ把握しました。無茶言ってごめんなさい」

北「急にしおらしくすんなよ。俺が悪いみたいじゃん」

「今のは主に京本先輩に対して謝ってるんだけど」

北「はぁ？」

大「気遣わせちゃってごめんね」

「そんなとんでもないです」

樹「ほい、きょもが食べてたやつ。北斗とAくんで食べな」

「ありがとうございます。ほら、高貴な味食べてみてって！」

樹先輩から受け取ったスプーンを北斗に押し付ける。渋々といった感じでゼリーを食べた北斗が少しだけ楽しそうな顔をした。

北「だから高貴な味の意味わかんねぇって。まあでもフツーに美味いな」

「でしょでしょ」

北「なんでお前がどや顔なんだよ」