君と見た世界 (ページ28)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:6,275 hit

28.デート ver.Kento① ページ28

.

久しぶりなのにヒール高すぎたかな。ブーツは比較的歩きやすいし大丈夫だよね？スカート短すぎないよね？デートって言葉に張り切りすぎちゃったかな…なんて不安になりながら、駅前で健人先輩を待つ。

本当は寮から一緒に行きたがってたんだけど、生徒会長が学内に女子連れ込んでたなんて噂になったら困ると、風磨先輩になだめられていた。そんなわけで、僕は裏口から出てきた上に駅前での待ち合わせとなったのだ。

健「お待たせ、遅くなっちゃってごめんね」

「だいじょ…うぶ」

後ろから耳馴染みのいい声で話しかけられた。やっと来た！なんて振り返って、息を呑んだし、口からは勝手にカッコイイって言葉がこぼれてた。

校内はもちろん、寮内で会う時も常に制服姿だったので、実は私服姿は今日初めて見るのだが、こんなにオシャレだったとは…。普段のダボッとした制服とは違って、今日はシュッとしたコーデなので綺麗についた筋肉が際立つ……。

そしてなんとなく気づいてたけど、足の長さがエグくない？股下異次元なんじゃないかってくらい足長いんだけど。コートの中身、実はほぼ足でしょ……。

ただだだイケメンで、さっきから女の子たちの視線が痛い。結局、この先輩はどこ行っても注目されるんだな。今日１日こんなイケメンの隣を歩くのハードル高すぎませんかね？

健「ありがと。Aもすっごく可愛いよ」

溶けちゃいそうなくらい甘ったるい笑顔を向けられる。もう既に胸焼けしそうなんだけど、まさか今日ずっとこれ…？

健「俺のために可愛くしてきてくれたんだって考えるだけで、嬉しすぎて泣いちゃいそう」

「え、そこまで！？」

健「だって、普段男装してるAが、俺だけのためにこーんなに可愛くなってくれたんだよ？」

「そう言われるとなんかすっごい照れる…」

確かに健人先輩のためにめっちゃオシャレしてきたけど……あのイケメンの隣に並ぶなら生半可じゃダメだって考えしかなかったので、そんな風に捉えられるとめちゃくちゃ照れるね……。

健「ふふ、かーわい。そろそろ電車来ちゃうから行こうか？」

「うん。今日はどこに行くの？」

健「さて、どこでしょう？」

いたずらっ子みたいに笑った健人先輩にかわされ、行き先を教えてもらえないまま電車に乗り込んだ。週末なこともあってか電車内はまあまあ混んでた。座れなかったけど、健人先輩と向かいあってお話できたのでよしとしよう。目を見て話したいもんね。