君と見た世界 (ページ1)

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side Shori

「AAです。仲良くしてね」

眉尻下げて笑う転校生に、教室はざわめきに包まれた。壇上に凛と立つその人は、鼻筋通った整った顔立ちをしている。目の上で揃えられた前髪が、彼が動くのにあわせて揺れるのに視線を奪われて、目を離しがたく思う。これは、かなりの美形が転校してきたって感じ。こんなの絶対周りが放っとかないでしょ。

ここ薔薇園学園は、初等部・中等部が女子禁制の男子校なのに、なぜか高等部からは男女共学となるのだ。そこそこの難関校かつ内部受験で進学する生徒が多数のため、外部入学生はかなり少ないが、女子生徒はその中でも１割にも満たない。ゆえに顔の綺麗な男を崇め奉り、親衛隊を作る文化は高等部まで引き継がれている。彼はまさに格好の的だろうな。

中「…勝利、挙手！」

心ここにあらずで窓の外見てたらいきなり名前を呼ばれて、反射的に手をあげた。ナニゴト？って担任の方見たら、転校生の席を教えてたらしい。俺の隣の席なのか。

中「Aの席はあそこやから。なんやわからんことあったら、周りに聞くんやで」

担任の中間先生に軽く会釈した彼は、こちらに向かって歩いてくる。健人くんに彼と仲良くなるように言われてるんだけど、さてどうしよう。幸いにも席が隣だし、校内案内するとでも声かければいいかな。

ふと右を向いたら、珍しく興味を示したらしい北斗くんが、転校生の顔を見て絶句してて驚く。いつもはポーカーフェイス崩さないのに。もしかして一目惚れでもしちゃった？

「隣、よろしくね。勝利くん」

「え？うん。よろしく」

まさか転校生の方から話しかけられると思わなかった。これは簡単に仲良くなれそうかな。

Side Shori End