【短編中編】全員、君依存症【閲覧注意】 (ページ4)

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リゾット・ネエロ　優しい檻④ ページ4

赤い目の男の人は、シャワーから出てくるとベッドに座って自分の膝の上に私を乗せた。

「････随分軽いな、満足に食事も与えられていなかったのか。」

『･･･食事は･･････パンと･･･水とたまに夕食の残りのスープが1日1回貰えるくらいでした』

「･･････そうか･･･これからは食事を3食分置いていく。何か食べたいものがあったら言え。」

『････はい････』

私の腕を････手を･････指を･････まじまじと観察されていて、落ち着かなかった。でも変に動いたりしてこの人の機嫌を損ねたら･････っ思って････大人しくじっとしていた。

暫く私の手をまじまじと観察した後に、私の繋がれているベッドに男の人がドサリと寝転んだ。寝るなら邪魔になるかと思って床に座ろうとベッドから降りようとしたら、腕を掴まれてそのまますっぽりと男の人の腕の中に捕まえられてしまった。

突然の出来事に、びっくりして身体を硬直させたら･･････男の人は落ち着いた声で言った。

「じっとしていれば、何もしない」

その言葉の通り･･･私はじっと動かないでいることにした。頭に手を乗せられ、緩やかな手つきで頭を撫でられた。なぜこんなことを････名前も知らない男の人にされてるのかわからなかったけど･･･私の頭を撫でるその手が優しくて･･･泣きそうになった。

泣いたら怒られると思ったから下唇をかみしめてぐっと堪えていると、男の人が私の顔をまっすぐ見て

「辛かっただろう。これからは、俺が守ってやる。」

なんて言ってきたから･････その言葉を聞いた直後に堪えていた涙がドバっと出てきてしまった。

なんでこのひとは、こんなに私に優しくしてくれるんだろう？私の親族を殺した相手なのに････なんで私はこのひとに縋るように抱き着いて泣いてしまってるんだろう。

そんな私を、名前も知らない彼は抱き返してくれて、ずっと頭を撫でてくれていた。

雑用をさせられていて、地下室に閉じ込められていた日々だった。それで、その生活が終わったと思ったら････今度は見ず知らずの男の人がいる部屋に閉じ込められることになった。

けど、前に私を閉じ込めていた埃っぽい檻と違って･･･この部屋は･･･暖かくて････とても優しい檻に思えた。