【短編中編】全員、君依存症【閲覧注意】 (ページ24)

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岸辺露伴　気付いたら愛していたんだ　② ページ24

学校を終えて、公園のベンチに座って少しだけ絵を描く。それが私のたった一つの楽しみだ。

スケッチブックを開いて、使い古して短くなった鉛筆を使って絵を描いていると心が落ち着く気がする。出来ることならばずっとこうやって絵を描いていたい。けど、それは出来ない。

私には厳しい両親が居て、家に帰ればすぐ勉強勉強って言われちゃうから。本当は学校を卒業したら、絵の学校に行きたいけど････親がそれを許してはくれないだろう。

あ、いけない･････嫌なことを考えているうちに、もう30分過ぎちゃった。家に帰らないと････お母さんに叱られてしまう。

慌ててスケッチブックを閉じて、ベンチから立ち上がろうと思ったその時だった。

｢キミ、ちょっとそれ見せてくれない？｣

って、知らない声が聞こえてきて････顔を上げると、そこには緑色のヘアバンドをした個性的な服を着た男の人が立っていた。

『え、あっ･････これですか？』

「そう、そのスケッチブック。」

『えぇ～っと･･･』

どうしよう、別にスケッチブックを見せるのはいいけど････もうそろそろ帰らないと叱られてしまう、時間が無い。

『えっと、ツマラナイ物ですが！お貸ししますので！明日このベンチにでも置いておいて下さい！』

慌てていた私は、咄嗟に目の前の男の人にスケッチブックを押し付けてそのまま家に走って帰った。だって、考える余裕もないし。17時までに家に帰って勉強をしていないと、お母さんが怒るし。

男の人は驚いた顔をしていたけど、頷いた後にそのままベンチにストンと座った。

私はその姿をちらりと横目で見た後に、駆け足で家へと走った。

随分･･････個性的なファッションをしている人だったけど･････何してる人なんだろう？なんて思いながら。