【短編中編】全員、君依存症【閲覧注意】 (ページ15)

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プロシュート　六畳一間の王子様⑥　※生存if注意ページ15

「じゃァ、オレには味噌汁はいらねーから、卵焼き作ってくれよ。」

っていうプロシュートさんの言葉に、暫くどうすればいいかわかんなくて固まってた私はちょっと間を置いてやっと言葉を見つけて、口を開いた。

『何の冗談ですか？早く卵焼き食べて風呂掃除して下さいよ』

笑いながらそう返してフライパンを洗おうとする私の首にプロシュートさんの両腕が回された。

「冗談じゃねェよ、本気だ。オレは････あのままあの線路で死んだ方がマシだと思ってた。組織を裏切って、仲間も希望も潰えたからな。でもオメーと出会って、オメーと一緒に居たいっていう欲が出てきちまった。」

急に真剣な声で、私を後ろからぎゅって抱きしめながら言うプロシュートさんに私は動揺しすぎて洗っていたフライパンをシンクにゴトンッ！って落としてしまった。

『そ･･･それは･･･たまたまプロシュートさんを見つけたのが、私だったからですよ。』

フライパンを拾いながら軽くゆすいで拭いて棚に戻した私の腕を、プロシュートさんがぎゅっと握りしめた。

「あァ、でもオメーはオレを見つけてくれた。運命なんて言葉を信じるガラじゃねェが、オレはオメーと一緒に居て･･･オメーの優しさに…その性格に惚れた。」

『･･･随分褒めてくれますね･･･』

「プロポーズの返事はいらねーぜ、A」

『え？どういうことですか？』

「オレにはもうオメー以外何も大事なモンも失うモンも無ェ。つまりオメーをどんな手段を使ってでも諦めるつもりも無ェし手離すつもりも無ェってことだ。オレを振ってやりたいなら、オレから逃げたいならオレの手足を切り落とすか殺すしかねェぜ？」

プロシュートさんのその言葉に、思わず背中に変な汗が流れた。プロポーズという名の脅迫ですよね？それって。

『殺すことも、手足を切り落とすことも私が出来るわけないじゃないですか。私は一般人ですよ。』

「そうだな、オメーは優しい甘ちゃんだからそんなことはしねェとわかった上で言ってる。愛してるぜ、A。」

後ろから、私の頬にリップ音を立ててキスをした後に、プロシュートさんは椅子に座って私の作った卵焼きとご飯を上機嫌そうに食べだした

初めて会った時に、王子様みたいって思ってた人は…本当に私の王子様になった。住んでいるお城は、六畳一間の1Kの狭いお城だけど

この王子様は執念深くて到底私を逃がしてくれることも無さそうなので、おとなしく観念しようと思った。