42 ページ44
海楼石はもう着けていないというのに身体に力が入らなくて、その人に倒れ込んでしまった。
｢大丈夫か？｣
胸元に顔を押し付けられていたから分からなかったけど、助けてくれたのはイゾウだった。
｢ありがとう。でも…どうしてここに？｣
｢マルコがお嬢がいなくなったって騒いでてな。退屈で抜けようと思ってたから、探しに来たんだ。｣
｢何でここにいるって分かったの？｣
｢さあな。何となく、ここにいる気がしたんだ。｣
｢そっか。本当に助けてくれてありがとう。ちょっと油断しちゃった。まさか海楼石使ってくるとは思わなくて…。｣
｢間に合って良かったよ。何もされてないか？｣
心配そうに顔を覗き込まれる。
その間ずっと髪の毛を梳かれていた。
｢腕を掴まれただけ。特に何もされてないわ。｣
｢良かった。でもお嬢程の実力者ならあんなの簡単にいなせただろう？｣
｢ちょっと頭が痛くなって座り込んでたの。｣
｢大丈夫なのか？｣
｢ええ、もう平気。｣
それからすぐ船には戻らず、途中店で買ったお酒を飲みながら、ライトアップされた夜桜を見る。
それは幻想的で、本当に美しかった。
そして私はお酒の勢いで聞きたかった事を聞いた。
｢イゾウはあの店に戻らなくていいの？その、皆みたいに…しないの？｣
質問の意図を察してイゾウは少し笑った。
｢興味がないからな。好きでもない女と寝たって虚しいだけさ。｣
｢そっか…。なら好きでもない女と飲んでいてつまらなくない？｣
｢お嬢は好きだしな。その辺の女の側で飲んでるよりずっと楽しいよ。そもそも嫌いなら助けないし、つまらなかったら帰ってる。｣
｢それなら良いけど…男には色々あるんだってサッチがよく言ってるから気になって。｣
｢あんな女好きと一緒にしないでおくれ。｣
｢ふふ、ごめんなさい。じゃあイゾウは好きな人いるの？｣
一瞬イゾウの動きが止まったけれど、何事もなかったかのようにお酒を煽ってから私を見た。
｢さあな。｣
｢あら、気になる言い方するのね。｣
｢なら…そのまま意識してくれよ。｣
｢…え？｣
揶揄っているだけなのか分からなくてイゾウを見つめるも、その目から真意は読み取れず、まるで時間が止まったかのように、私達はただただ見つめ合っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルイ(プロフ) - 哀羅さん» あと、月見草は無言の愛、イベリスは心を惹き付けるとか移り気って意味があって、そこにハルタの心情を込めてみました！ (2020年10月29日 9時) (
レス) id: a0dbe60605 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 月見草、ほのかな恋、イベリス、甘い誘惑なんですね。 (2020年10月29日 6時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 哀羅さん» 可愛いですよね！本当は優しくて良い子なのに不器用な感じを出したかったんですけど...出せてますかね？ぜひ調べてみてください♪ (2020年10月28日 23時) (レス) id: a0dbe60605 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 今からソッコー花言葉調べに行ってまいります！！！ハルたん、可愛すぎ！ひっそり一途で、でも運命に抗ってみたり…最高です！ (2020年10月28日 22時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 哀羅さん» いるだけで色気が溢れていそうですよね！大人な誘惑に私も惑わされたいです！！ (2020年10月27日 14時) (レス) id: a0dbe60605 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨音 | 作成日時：2020年10月15日 16時
