【HQ‼︎】コート上の王様は私にとっての王子様【影山飛雄】

｡.✽･37.離縁 ページ38

「Aちゃん。」

怖くない。
むしろ優しい顔の徹くん。

なのに背筋がピリッとした。



……先に続く言葉が想像できる。


「ーー別れようか」
やっぱり、ね。



だけど


そう言った徹くんの顔は苦しそうだった。



「はい、」


「気にしないでね、俺は…俺は大丈夫だからさ。




…まあ、はっきり言うとまだAちゃんのことは好き。





でもね、心から笑って欲しいんだ。Aちゃんには。


今さっき、わかったんじゃない？








蓋をしてたその気持ちに、







そしてその気持ちの未来に＿＿＿＿＿」


…全部、気づいてたんだ。

それでも、一緒にいてくれたんだ。


「すみま…」




「謝らない！Aちゃんは悪くない。ほら、まだ間に合うよ。」

優しく微笑みながら私の乱れた服装を整えながら砂や汚れを払ってくれる。




今までのどんな顔よりも優しく、強い。
徹くん…ごめんなさい。




ごめんなさい、ごめんなさい。








...あのね、



今言うと説得力がないと思う。




だからあえて言わないけど
でも、確かだから。









貴方のこと、本当にーーー好きでした。


思い込みだったとしても






あなたが好きだったことは、事実で。





後悔してない。







「ほら、行ってきな？＿＿その綺麗な髪を伸ばしたAちゃん、見たいな。」
ボソッと言われた最後の言葉。



知ってたんですね、そこまで。



飛雄と別れたあと髪をバッサリと切ったのは“失恋”、

未練を断とうとしていたってことー



「…はい、」

無駄な優しさは相手を傷つける。
だから、貴方を傷つけないために、言わせて。



これだけは。

「ありがとう。」

｡.✽･38.痛感（及川side→←｡.✽･36.数秒

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