気になるあのコ【佐野玲於】

今日も1日 ページ7

Aside





「おはようございまーす」




コンビニで買ったコーヒー片手に出社


引越しして近くなったはいいものの
こんな遅く家出ていいの？って不安になっちゃって。


結局始業よりもかなり早く着いちゃってまだ全然人がいない。


　


乃奈「Aさんおはようございます！」


「のなおはよう〜」



黒髪ボブに赤いリップ
マグカップで手を温めてるこの子は後輩の乃奈。


学生時代のバイト先で出会って
私が就職した後も仲良くしてたら

私Aさんのとこに履歴書送りました！
　
なんて言うからびっくり。




結果、今は同僚として一緒に働いてて
頼れるかわいい後輩ちゃん。





乃奈「あ、サンプル届いてたんで開けときました！」


「え助かる〜！あとで一緒にチェックしよ」


乃奈「了解です！てか、なんかありました？」


「え？」


乃奈「なんかご機嫌オーラがすごい」




Aさん低血圧だから朝はテンション低いのに
ってニヤニヤしてる。




「別に何もないけど‥‥」


乃奈「あ、絶対うそだ。何年一緒にいると思ってるんですか」





うそ、ご機嫌オーラなんて出してた？私

疑わしそうに見てくる乃奈から隠れるようにデスクに着く。



何かあったかって言われると‥






思い浮かべるのは今朝のお兄さんの顔。





大丈夫だよね、今日はちゃんと目を見て挨拶したもん

無愛想な人って、思われてないよね




昨日のイケてるオーラとは違って
朝だからまだ瞼が重そうで
昨日香った男の子の香水も、今朝は石鹸の香りがした。



私が好きなアーティストをお兄さんも好きで、
音楽の趣味が合うことなんかも知ってしまって。



　


乃奈「あ、ほら！ニヤニヤしてる」


「もー、うるさい」


乃奈「今度聴取しますからね。あ、あとこれ先月の広告のデータです」




何も話すことないからね？って一応念を押しながら
手渡された資料を受け取る。






私が今いるのはアパレル企業の本社で
ブランド認知の為に毎日色々な業務をしてる。


来期のサンプルをチェックして企画立てたり
SNS更新したり、関係各所と連絡取って広告打ち出したり。



今は春の新作に向けてプロモーションを立ち上げてる最中で
こうして絶賛忙しい。





‥‥私も優雅に朝ジムとか行ってみたいなあ




ってまたお兄さんのことを思い出して



いけないいけない
仕事に集中しなきゃ。






顔をパシパシ叩いて
今日も1日乗り切るために自分に喝を入れた。





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