止まれ ページ34
Aside
外に出て、夜の繁華街をひとり足早に歩く。
ああ、勝手に出てきてしまった
乃奈きっと心配してるから、体調悪くなっちゃって先帰るってLINEした。
さっきの、あの女の人とキスしてる佐野さんが
目の奥に焼きついて離れない。
‥‥わかってた、本当はわかってたの。
わたしにとって佐野さんが
ただのご近所さん以上になってたこと。
彼に会うかもしれないから
彼と知り合ってからの朝の準備は入念にしていたし
暇さえあれば、何してるのかなって考えてた。
でも佐野さんは、あの大きなクラブに入れば
VIP席に通されるような人で
私は声さえかけられなければずっと下のフロアにいるような、そんな存在。
きっと、住む世界が違う。
最後に話して
優しい笑顔で頭ポンポンしてくれたとき
私の家のキッチンで、あと数センチの距離だったとき。
あのときが、もうもはや懐かしい。
次会ったら、どんな顔して話せばいいんだろう
借りた服だって返さなきゃいけないのに
「‥‥はあ」
タクシーも全然捕まらない。
アプリで呼ぼうってスマホを開くと、LINEの通知
〔大丈夫？〕
〔ちゃんと帰れてる？〕
隼くんからだ‥‥
久しぶりに会ったのに、あんな別れ方、引かれたかな。
さっき隼くんに腕を掴まれたとき
もしかしたら佐野さんかもって、一瞬そんな期待をした。
隼くんの顔見てわたし、がっかりしたの。
「‥‥最低だ」
本当に、最低だよ私
でもね、でも
見つけてもらうなら、佐野さんがよかったの。
VIP席に案内してくれたあの男の子でも、隼くんでもなくて
佐野さんに見つけて欲しかったの。
そしたらあの席で彼の隣いたのは私だったかもしれないのに。
私に会えて嬉しそうにしてくれる
佐野さんに期待してた。
これから縮まる距離に期待してた。
彼女はいないって、そういうことだ。
あんなかっこよくて魅力的な人が特定の誰かのものになるはずがない。
「‥‥好きになりかけてた」
そう言った自分の声が、白い息に変わる。
きっと、なりかけてたどころじゃないのかもしれないけれど
そういうことにしておかなきゃ、苦しい。
鼻がツンとして、目の奥が熱くなって
道路に白線で引かれた〈 止まれ 〉の文字が
ぼやけて見えない。
・
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あすか(プロフ) - 私はGENE隼くん推しなので隼もっと頑張れ〜て思いながら玲於くんにキュンキュンしてます笑笑 (2月7日 1時) (
レス) id: 9548bf3dbb (このIDを非表示/違反報告)
Room108(プロフ) - ごんごんさん» 記念すべき初コメントありがとうございます。これからどうなっていくのか‥楽しみにしていてください！^ ^ (2月5日 17時) (レス) id: 784322fd7f (このIDを非表示/違反報告)
ごんごん(プロフ) - 初コメ失礼します！今日初めて読み始めてもう一気読みしちゃいました笑まさか隼くんと玲於くんのお相手一緒だとは！もう話の展開気になりすぎます笑楽しみに待っています！ (2月3日 23時) (レス) @page28 id: 6808294a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Room108 | 作成日時：2024年1月23日 21時
