気になるあのコ【佐野玲於】

忘れてた ページ26

Aside






乃奈「ちょっと待ってください、スマホの彼とその後一回も会ってないんですか？」


「会ってない、です」


乃奈「なぜ？！」





なぜって‥


今の今まで、そんなことあったの忘れてた。



　




あれは多分、3ヶ月くらい前






引越しを控えていた私は叔母さんの家に遊びに行って
その帰り、友達に今飲んでるからおいでって呼び出された。




お店に着いたら、向かいの建物の段差にスマホが落ちていて



あーたぶん、酔っ払ってお店を出て
しばらくここに座ってたんだろうな、気づいたら真っ青になるだろうな、って同じような経験あるから想像できてしまって




取りに来たらこのお店から見えるし預かっておいてあげよう




スマホを拾い上げると、着信が鳴って




電話の向こうのその人、呂律回ってないけどすごく焦ってるの分かって

数分経つと同い年くらいの男性が現れた。






「ご飯行ったのも、お礼させてくださいって頑なに言うからそれに甘えただけだよ」


乃奈「絶対Aさんのこと見て可愛い、ってなってこじつけたんですって」




普通その場で連絡先とか求めませんって呆れてる乃奈




「礼儀正しい感じだったし、そういう律儀な人なんだよ」




確かに2人で会った後もしばらく連絡来てたけど
引越しと仕事で忙しくなっちゃってそれどころじゃなかった


　


乃奈「今連絡来てないんですか？」


「え、多分。返してそのままだった気がするけど」


　





トーク履歴を開いてスクロール








「‥‥あ」










３週間前に


〔来月どっか空いてないかな？〕
〔また飲み行きたい！〕
〔返信ぜんぜん暇なときでいいから！〕









乃奈「あーもう、本当Aさんって‥」


「すみません‥」


乃奈「彼氏作ろうと思えば絶対すぐできるのに、もったいないです！」







ヒートアップしてぷんすかしてる乃奈を
はいはいって落ち着つかせながら
　


未読してた、申し訳ないな。
ごめんなさいって気持ちを込めて





〔予定確認してまた連絡します〕




送信ボタンを押して、スマホを閉じた。







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