気になるあのコ【佐野玲於】

私の朝 ページ2

Aside






午前6:00





アラームがうるさく鳴ってるスマホをノールックで探して止める。





あれ、ここどこ？



‥いや、私の家か。




起きて一瞬、どこかわからなくなる
引越しあるある。






はあ、月曜の朝、しんどい。





低血圧で上手く動かない自分の身体を無理矢理起こして
おぼつかない足で洗面台に向かう。




顔を洗ってスキンケアして
スマホでスケジュールをチェックしながら歯を磨く。




うわ、ニキビできてる‥‥完全に寝不足だ。




昨日も全然ダンボール片付けられなかったしなあ。



リビングにまだ山のように積まれてる引越しの段ボールを横目に朝からため息。











26歳



この年齢、この年収には似つかわしくない
セキュリティーばっちりのマンション。

バリキャリ独身貴族の叔母さんが1年間海外に転勤になると聞いたのは2ヶ月前。



買った部屋だしもったいない、家を空ける間使っていいよって言ってくれて。



職場からかなり近くなるし家賃かからないし
ちょうど部屋の更新のときだったし、もう超ラッキー。
叔母さんが発って早１週間、早速ここへ引っ越した。





まあでも土日休みだけで決行した引越し作業は思ったよりも数倍大変で、全然疲れ取れてない。





まだ全然若いつもりでいるんだけどなー

　



スマホ片手にキッチンで朝の一杯を淹れて、特に頭には入ってこないけどインスタを開く。








「わ、結婚するんだ」









最新投稿の1番上


彼がプロポーズしてくれました♡
来年結婚します！


地元の友達のそんな投稿。






周りの子たちはもう結婚してる子もいれば子供がいる子もいて
同棲してるなんて話もちらほら。







私にはしばらく縁のない世界。






ずっと仕事しかしてこなかったし、
最後にちゃんと彼氏いたのなんて4年前だし、
今更出会いなんてないし。








多分、私には現れない。

指輪と薔薇の花束を抱えてプロポーズしてくれる王子様なんて。








諦めのこもったため息が
手に持ったコーヒーをふんわり冷ます、そんな私の朝。










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