思い出 ページ4
＿＿５年前＿＿
その時はまだ、私は人間が愚かで醜く、その事に気付かない憐れな生き物だと思っていた。
人は愚かだ。生れた時から命の糧である空気が常にある事で生きて行けるのに、その価値を理解していない。毎日おいしい物を食べ、便利な物、高価な物に囲まれていて、その幸福を当たり前のようになってしまう。
人間が最も満足を得られるときは、
最も不幸な人間を作る事で、最も幸せな自分が浮き上がるときだ
けれどもその幸福の自分の足場には多くの不幸な人間が積み重なっている
勝ち組である為には、負け組を作る事が必要不可欠なのだ。
ああ、人間はなんと醜く、愚かな生き物なのだろうか。
「貴女、一人なの？」
あの場所から脱け出した私は少しでも人間の居ないところに居たくて、人気がない、ポツンとベンチ一つ以外は置かれていない、私以外は誰もいなかった公園のベンチに空を見ながらぼーっとしていた私に、着物を着た綺麗な女性が話し掛けてきた。
心配そうに私を見る女性は美しく、まるで童話に出てくるかぐや姫のように思えた。頭の上に一つお団子を作り、そのお団子に鼈甲の平打簪を差し、下の髪はおろし、水色一色の着物はその女性によく似合っていた。
女性の手には買い物袋が握られている。とても重そうに見えるその買い物袋を見た目では想像がつかない白く細い手で軽々と持っている。
春の心地良いそよ風が女性の真っ黒な髪を揺らす。
「はい。天気が良い日だったので。」
「あら、日向ぼっこ？」
「はい。気持ちが良いですよ。」
にこりと笑いながら、私は答えにならない答えを言う。
我ながら意地悪だと思うがそれでも目の前にいる女性は嫌な顔一つせず、寧ろ私の答えに優しく微笑み、「それは心地の良さそうね。」と言った。
女性は私の隣に座り、背凭れに背を預けて腰掛け目を閉じた。その不思議な女性をチラリと見て、私も身体をベンチに預け目を閉じた。
鳥のさえずりが聞こえる。心地良いそよ風が頬を撫でた。木の葉が日の光を和らげてくれていて、心地が良い。
こうしていると、気が少し楽になれる。
「貴女の言う通り、心地が良いわ。日向ぼっこには最高の日ね、今日は。」
「そうですね。」
ゆっくりと目を開け、女性の方を見ると女性は目を開け、空を眺めている。
雲が所々ある空は快晴とは言えないが良い天気だった。
その後女性は夫と娘が待っているからと帰ってしまった。
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レイ - 好きだわ! (6月26日 21時) (
レス) @page22 id: be2fe8a188 (このIDを非表示/違反報告)
桜の下(プロフ) - 次の話が楽しみです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年4月19日 0時) (レス) id: 6dcf85fe6b (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます！私も久々に投稿したなーって呑気なこと考えていましたw此れから事態が発展していくので楽しみにしていて下さい！、、、よし、コメント貰ったしもうちょい更新しよ←結構ちょろい (2020年2月9日 15時) (レス) id: 4f3f949d42 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 久しぶりの更新で嬉しすぎて奇声を上げましたw これからも楽しみにしてます!! (2020年2月9日 13時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - もっぴいさん» 私も夢主ちゃんのマイペースなところ大好きなんですよ。この作品を読んでくださり有り難う御座います！これからもよろしくお願いします！ (2019年9月29日 18時) (レス) id: 4f3f949d42 (このIDを非表示/違反報告)
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