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一話 ページ1

私には、前世の記憶というものがある。


これを最初に聞いてみんなが多分思うこと「こいつ、中二病か?」だ。まあ、それは仕方がないと思う。私だって思うし。


話が逸れた。話を戻すと、私には『喰種』という人しか喰べる事ができない生き物がいる世界で生きてきた記憶がある。私は、喰種と人間の間に生まれた子供だった。私には喰種の兄がいて、兄はとても強く、人に優しく、誰よりも傷付きやすい喰種だった。


一方私は何故か人間だった。小さい頃、いじめっ子達に泣かされてたときは兄がよく私を庇っていじめっ子達を追っ払ってくれてた。泣いている私に、何時も「もう大丈夫だよ」と言って涙を拭ってくれて、私が泣き止むまで一緒にいてくれた。


母は人間で父と兄は喰種。それでも私の家族は幸せだった。









でも、そんな幸せも、長くは続かなかった。







ある日、父が『食事』をしているところを『鳩』に見付かった。偶々近くにいた私と兄はその現場を見てしまった。父の所に走ろうとする私を兄が必死で止め、私を抱えて兄は家に私を連れて帰り、兄は私に「直ぐにお父さんと家に帰って来るから、それまで良い子で家でお母さんと待ってて」と言って家を出ていったきり、帰って来なかった。





兄さんは嘘つきだ





帰って来ると、言ったのに






兄さんと父さんが喰種だから殺されなければいけなかったのか?






兄さんと父さんは、人を殺さず、『ご飯』だって身勝手に自"殺した人間ばかりだ。それでも、父と兄は毎回手を合わせて、「ごめんなさい」と言ってその人の肉を貰っていた。生きるために、死なないために。


何故?どうして、優しい喰種なのに、貴方達と仲良くしていたのに。喰種がみんな、悪い奴らばかりじゃない。良い喰種だって沢山いる。兄の知り合いにも沢山の喰種がいた。けど、みんな良い『人』たちばかりだった。





でも、みんな『喰種』だからという理由で殺されていった






とある私の好きな漫画で出てきた言葉







『幸せが壊れるときは いつも 血の匂いがする』







まさにその通りだと、私はあの時泣きながら思った。

二話→



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作者名:ヨル | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月19日 1時

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