４ 私と誠さんの写真 ページ4
珈琲を三木さんのカウンターに置いた。
三木さんは口をすぼめておーっと小さく感嘆し、眉を上げた。私は笑顔でどうぞ、と言ってスプーンのある方へ回転させた。
「美味しそうだねぇ。飲むのが勿体無いぐらいだ」
「いやもう、飲んじゃって下さい！」
茶化しながら珈琲カップを誘導した。一口、二口、三木さんの喉に通って行く。カップから口を離すと目をカッと見開きながら、小さく美味い、と言った。
珈琲カップの中には黒と茶の世界が広がっていた。深奥だった。
私は微笑んで、ありがとうございますと小さく言った。嬉しくて、喜びの感情を噛みしめていいた。美味しい珈琲を淹れられるのが自慢だった。
「あ、そうそう。10時頃からケーキ作ってて。12時頃に焼けて、今冷蔵庫で冷やしてるんですけど食べませんか？ サービスしますよ」
「あ！ 今甘いもの食べたかったんだよね。どんなケーキ？」
「ブルーベリーのちょっと甘いケーキになります」
「いいねぇ」
後ろに振り返り、林檎色をした冷蔵庫に手を伸ばす。
長袖の白いシャツは腕捲りをされて肘の辺りでつくねてあり、自分の痩せこけて格好悪い腕が見える。そこに冷蔵庫のひんやりとした蒸気がかかり、毛穴が引き締まった。
冷蔵庫には卵が幾つか、林檎やほうれん草と言った食べ物が並べて冷やされていた。まだ何か入れるスペースはあり、ゆったりとしている。
中央から白く大きなお皿の上に乗ったブルーベリーケーキを取り出して、冷蔵庫を締める。
あるものが目に入る。丸い形をしたマグネット。にこちゃんマークが描かれた黄色のマグネットが挟んでいるのは、誠さんと私の写真だった。
少しおかしいかもしれないけど、病院で撮ったものだ。私の妊娠が分かって、つい嬉しくなって看護婦さんにその場でぱしゃり。
カメラは誠さんの仕事上(イラストレーター)で普段から持ち歩いており、撮ることが出来た。
私は前髪を上げて、ポニーテールをしていた。横に長い目と、タマゴのようにつるつるで丸いお顔。肌が綺麗なのも自慢だ。丸い目は今だけ横に長く、薄い唇からは白い歯が見えていた。
私は黄色と白のボーターの長袖シャツを着て、淡い青色をしたパーカーを着た誠さん。お互いに笑いながらピースをしている。
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ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 結凛＠受験生さん» まさかこのノリは……！ いいともー！(*≧∀≦*) ですよね！ コメントありがとうございます。読んでくださるのが一番の喜びです。貴方らしい文を書けるように頑張って下さい。影で応援しています。 (2014年6月12日 21時) (
レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
結凛＠受験生(プロフ) - ゾッとしました!あなたのような文を書けるように頑張ります!!…頑張っていいですか。 (2014年6月12日 20時) (レス) id: 918e1a30d0 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - ＋aさん» ありがとうございます!! 題名から読み負けるとは、思ってもみませんでした(わら) 最初は「静かな珈琲屋」だったんですけど、途中からホラーになり題名を変更させていただきました。個性は抑え目にと思って作品を書いているんですが、出てしまうものですね(;´･ω･) (2014年5月20日 23時) (レス) id: 3f02585d56 (このIDを非表示/違反報告)
＋a(プロフ) - 題名が気になって読んでみました！なんだかすごく個性を感じました！ (2014年5月20日 22時) (レス) id: 20cb8101ab (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - まふぇ。さん» コメント、毎回ありがとうございます(*^^*) ラストで幻滅されると思ってて、実は内心ビビってました(汗) 先生と呼ばれるに相応しい人になりたいです！ 頑張ります。まふぇ。さんの作品にもチョコチョコ遊びに行きます。完結まで読んでいただき、お疲れ様でした！ (2014年5月6日 17時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月2日 18時
