お気に入りとかお前らヒトサマなめてんだろ 2【灰谷兄弟】

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『いただきます……』


湯気を上げている味噌汁を啜る。


柔らかなみその味が、口の中に広がった。


次にいい匂いがする白米を口に含む。


『美味しい……』


久しぶりに、人が作ってくれたごはんを食べた。


前食べたのは、確か、小学生の時だった。




ぽろ、と涙が落ちる。


「え！？おいしくなかった！？」


『ちが、ちがくて……』



嬉しいのに、悲しい。

ダメだ。止まらない。



「なぁに？Aまた泣いてるの？」


背後から声。


デジャヴだわ。


蘭の方を見ると、そ、と瞼を触られる。



「目ぇ腫れてんじゃん。ウケる」


『絶対今言う言葉じゃなかっただろ』


綺麗な目がとけちまうぞ。(言わない)みたいなことを言う雰囲気だったじゃん！(言わない)



「なんて言ってほしかったの？」


『俺の右目が疼く』


ギチギチギチギチと頭を掴まれる。


『そこにキランッってつけてくれたらさらにい、イタタタタタタタタタ！！』


鬼か！！

頭蓋がへこんだと思ったわ！

庇うように掴まれていた頭を押さえる。


え、これ陥没してね？



さわさわと頭を触っていると、蘭が背を向けた。


「帰りたくないなら帰らなければいいだろ。Aが望む限り、ここにいていい」


いつの間にか涙は引っ込んでいた。


それでもまた熱くなる眦。


「俺が言おうとしてたのに！また良いとこ取りかよ兄貴！」


「早いもん勝ち」


人に、ここにいていいよって言われるのが、こんなに嬉しいなんて。





『そんな恥ずかしい言葉よく言えたな』



「Aのそのクソ度胸なんなの？」



『てへぺろ。いってぇ！ごめんって！』



またもや頭を押さえながら、Aは本心から笑った。


『ありがとう』





蘭さんが事前に手を出す間もないって言ってるのに出しちゃったのはそれほど夢主ちゃんを離したくなかったからです。もし齟齬があったらすみません！

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