お気に入りとかお前らヒトサマなめてんだろ 2【灰谷兄弟】

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まず蘭が動いた。



神速でテレビを消し、リビングの電気をつけた。






私の涙もそれと一緒にピタリと止まる。



『ヴァ〜〜〜！』


「声汚ッ」




それでも気色悪い泣き声をたてながら蘭の腹に顔を埋めた。






安心感で体が震えて、しゃっくりが止まらない。








えぇ……と竜胆がドン引いたのを後ろで感じた。






「メルーさん借りてきたの兄貴だけど……」




『あ゛ぁ？？』



殺気立った声で竜胆を下から睨み上げる。




『止めなかったのはてめぇだろうが。例え元凶がこいつだろうと止めたのもこいつだ。つまり足し引きでマイナス！！』




「A？」



頭の上で蘭が何か話したが無視をする。というか苛立ってて、いや、パニクってて自分が何を話してるか分かってない。





『それに私はただ抱きついてるわけじゃねぇ。そこまで能無しじゃねぇからな。ほら！こうやって腕が上がんないように押さえてんだよ！！』






「A？？」







『こうすりゃあリモコンを触ろうとも触れねぇだろ！！いいか竜胆、何かをやめてほしけりゃ気づかれないように押さえるんだよ！！』




「…………」




『アッ』




すぽんっと蘭が手を引き抜く。



そして無表情でまたリモコンをつけ、電気を消した。





「先日から、俺はイタズラ電話に困らされてる。その電話は必ず夜の２時にかかってきて『ア゛ーーーーーー！！』






『うわぁーーーー！！ ぎゃあーーーーーー！！！！』





「うるさっ」






結局最後まで流されて、その間私は蘭の腹で叫び続けた。




次の日から、蘭は満足したのか、ホラー映画探しをやめたとさ。

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