お気に入りとかお前らヒトサマなめてんだろ 2【灰谷兄弟】

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旅館といったら温泉だよね。


ということでもう入ってきました。


めちゃくちゃ広くて、一人で入るのがすごく勿体なかったな。

幹部全員できたなら混浴にしてたけど蘭達だと何が起きるか分からないから別々。


そこは自分がオーダーしといた。


温泉から出ると、自分が脱いだ服と、隣に甚平が置かれていた。



広げて見ると、深い紺の色をベースに、蘭と竜胆の花が縫われている。




『うわぁ、綺麗』


二人ともセンス良いわぁ。
サイズもぴったり。


『……』


深いことは考えないようにしよう。




女湯と書かれた暖簾を通ると、二人ともまだいなかった。


あんなに染めてたらケアも大変だよなぁ。




仲居さんがしずしずと出てきて、ビン牛乳を差し出す。


「灰谷様からです」


そのセリフに思わず吹き出す。

バーで使うようなセリフで差し出されたのがビン牛乳。



『んふっ……ッありがとうございます』


確かにやってみたいって言った。温泉入ったあと、ビン牛乳を一気飲みしてみたいとは言ったけど。


ポンッと音を立てて蓋をあける。



ごっきゅごっきゅごっきゅごっきゅ。



仁王立ちして飲んでいると、ようやく蘭が出てきた。



「うわ、すげえ飲みっぷり。どーお？美味しい？」



こくんと頷く。



俺ももらおー、と控えていた仲居さんからビン牛乳をもらう蘭に、竜胆は？と聞いた。



「まだ髪乾かしてるよ」


そういう蘭の髪は、まだ濡れていて、雫が滴ってる。


蘭の服は浴衣で、私とお揃いの柄に色だ。



『こうも違うものかね』


大人の色気がもうむんむん。

紫の髪が妖艶さをさらに引き出しとる。


『水が滴るいい男ってか』

直視出来んわ。


「惚れちゃう？」


『惚れちゃう』



やめろ近づくな。私が捕まる。全世界の女性から恨みを買えるほど私の心臓は強くはないわ。


「え！？もうA出てたの！？」


おうおう、その声は竜胆か。ちょうどいいところに


くるっと振り向くと、そのまま絶句した。



それもこれも、竜胆の髪型のせい。



うなじのところの髪を、きゅっとまとめている。



『てめぇらふざけんな』




「え、何」





『これだから灰谷家は！簡単に人のこと惚れさせやがって！加減しろ！直でその色気を浴びるこっちの身にもなれ！』


「いや、なにいって」


『黙れ！！かわいいな！！』

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