Forevermore (ページ7)

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『(まだかな・・・)』

さっきから何度も時計を確認してしまう。

午後には日本に着くから、会いに行くと言われ、こんなにもソワソワしてしまう。

ピンポーン

静かな部屋に少し間の抜けたチャイムの音が響いた。

『はぁい』

「開けて～」

モニターに映ったのはキャップ帽と眼鏡をつけた結弦くんの姿だった。

すぐにオートロックを解除して、玄関に向かう。

しばらくしてもう一度チャイムの音が鳴る。

ガチャッ

「久しぶり。A、ちゃんと」

ちゃんと確認した？という結弦くんの言葉は途中で途切れてしまう。

理由はわたしがギュっと抱き着いたから―

バタン

ゆっくりと玄関のドアが閉まる音が聞こえた。

「A、会いたかった」

『・・・』

「何か喋ってよ・・・」

少し困ったような声音で結弦くんが言うけど、今は目の前の彼に抱き着いているのが精一杯だった。

「A？」

わたしより10㎝背の高い結弦くんから降ってくる優しい声音のせいで、気を抜くとすぐにでも泣き出してしまいそう。

「俺はここにいるから、大丈夫だよ。大丈夫」

わたしを安心させるように何度も大丈夫と魔法の呪文ように繰り返してくれる。

チュッチュッ

結弦くんからのキスの雨が髪の毛や耳に何度も降り注ぐ。

『それやだ・・・くすぐったいから』

「ふはっ A、やっと喋ったね。」

ゆっくりと視線を上げると優しい眼差しをした結弦くんと目が合う。

「もう少しこうしてる？俺としてはリビングで抱き着いてくれるのがベストなんだけど？」

そう言われてようやく自分が玄関で抱き着いている事に気が付いた。

『あっ、ごめんねっ。どうぞ上がって？』

「お邪魔します」

体を離したわたしの右手を握って、結弦くんはリビングに向かって歩き出す。

2人並んでソファに座ると、結弦くんがこちらを向いて両手を広げてこちらを見ている。

『？』

意味が掴めなくて首を傾げると

「ほら！抱き着いて！」

『・・・それ、逆に抱き着きづらい。』

「なんだよ、それ！」

『だって！・・・そんな構えられると・・・』

「大丈夫だよ、ほら！」

ここはハグの文化が根付いていない日本で、純粋な日本人であるわたしにはかなり抵抗がある。

『(たまに会えた時ぐらい甘えても良いかな)』

自分で自分に許可を出して、思いっきり目の前で待ち構えている結弦くんに抱き着く。