Forevermore (ページ5)

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‐カンヌンアイスアリーナ SP当日公式練習‐

1年後にはここで平昌オリンピックが開かれる。

本番のアイスリンクで実際に試合ができる事はプラス材料だ。氷の感触やどんな風に音が響くのかを確認して、オリンピック本番に向けて調整することができる。

公式練習でアイスリンクの中に入る。

いつものように氷に触れてからリンクに足を乗せる。

『(氷の感触は悪くないな)』

スーッとゆっくりリンクを1周する。

目を閉じて、深く深呼吸する。

ゆっくりと目を開けると、目の前に広がるのは青い客席―

『(ここで優勝するぞ)』

ハビエルと同じくリンクサイドに立つブライアンの元に行き、どの技の練習をどれぐらいするかを確認していく。

‐日本東京都内某所‐

原口「じゃあ、A、レコーディングは予定通り21日から始めるから。」

『分かりました。』

原口「9時には迎えに行くから。着く10分前に電話するよ。」

『すみません、朝が弱くて・・・よろしくお願いします！』

マネージャーがタレントを車で迎えに行くのは、この世界では当然の光景だ。

テレビの番組内で早朝ロケをしていると、タレントが「朝が早い、眠い」と愚痴をこぼしているが、本当に大変なのは早朝ロケに間に合うように迎えにいくマネージャーさんだろうなと心底思う。

比較的スペースの狭い会議室での打ち合わせを終えて、原口さんが立ち上がる。

原口「予定ないなら家まで送ろうか？」

『・・・・・』

目線は会議室にちょこんと置かれた小さなテレビに向いていた。

原口「(たしか、今日は・・・SP当日だったかな？)」

羽生結弦と付き合っていると報告された時、最初に出た感想は「勘弁してくれよ」だった。

18歳、高校卒業とともにメジャーデビューをしたA

デビュー曲からヒットして、すぐに人気歌手に躍り出た。

同じ事務所の福山雅治だって目に掛ける存在で、デビュー前からスタッフとの付き合い方や音響機材の扱い方まで教え込んだ。

しかし、呼び出された部屋の一室で、2人が揃って頭を下げる姿を見て浅はかな考えは無くなった。

デビューから全力で走り抜けて来た。その姿を自分は1番よく分かっている。

Aが何も考えずに隣の彼と付き合っている訳がない。彼もAもアイドルじゃないんだ、恋人がいたって良いじゃないか。

ただその相手が日本中の人気者同士だっただけだ。

原口「テレビつけよう。」

『・・・良いんですか？』