Forevermore (ページ30)

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『・・・そんな事言ったって

ジャンプどころか、リンクにすら立てねえ奴が勝てるわけねえじゃん！』

「それ、本気で言ってる？」

『当たり前だろ！』

オリンピックで勝つことがどんだけ難しいか

俺は知ってんだから

「・・・もういい！！」

Aはそう言って立ち上がるとリビングから出て行った

5分ぐらいして戻ってくると、Aは両手いっぱいの雑誌や書類を抱えてた

『・・・なにそれ』

俺の言葉を無視してAはごみ箱に次々とその束を入れていく

『それ・・・何やってんだよ！！』

Aが捨てようとしてたのは

ウェディングドレスを選ぶといって2ヶ月前から楽しそうに見ていた雑誌だった

「いいの！全部捨てる！」

『やめろって！』

何やってんだよ

お前それ嬉しそうに飽きもせずに毎日見てたじゃん

「いいの、全部捨てる！

スケートに、結弦くんがオリンピックで勝つのに必要ないものは全部捨てる！」

『・・・！』

全部の幸せなんて手に入らない

オリンピックで勝つためには

何かを捨てなくちゃいけない

そうだよな、Aの言う通り

オリンピック連覇のために

他の幸せは全部捨てよう

『A

俺のために幸せ全部捨ててくれる？』

なんて最低な男なんだろ

この世で1番大事な人を抱き締めながら

自分の妻に向かって幸せを捨てるように頼むなんて

「うん。

絶対オリンピックで勝とうね」

Aは何の迷いもなく、俺の目見て頷いた

「ここで踏ん張って勝ったら、絶対いっぱい幸せくるから」

2人で抱き合って

俺のために幸せを手放してくれるAのために連覇すると誓った

「・・・結弦くん泣いてる」

『Aだって泣いてんじゃん。

泣き虫だもんね Aは』

Aは泣きながら笑った

その涙が世界で1番きれいなものだと心の底から思う

「いいの、泣いても。

結弦くんのこの怪我のせいで泣くのは

今日が最後だから。」

『ほんとに？

俺が練習行ってる間に一人で泣いたりしない？』

「もうしない

次に泣くのは

結弦くんがオリンピックで金メダル取った時！」

結婚してすぐの頃は

Aがスポーツ選手の奥さんできるか不安もあった

でも今のAは

スポーツ選手の

羽生結弦の

立派な妻だよ