Forevermore (ページ28)

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病院に着いてから一通りの検査を受けて、待合室の長椅子に座って時間をつぶす。

頭の中では最悪の結果だけがループしていく

「・・・結弦くん？」

顔を上げると、走って来たのか少し息を切らしたAが立ってた

二言三言話してから会話が途切れていく

1人で現実を突きつけられるのが怖くて、ゆっくりAと手を繋ぐ

Aはいつもよりしっかりと指を絡めて握り返してくる

A、泣いてんだろうな

チラッと隣にいるAを盗み見る

Aは泣いてなんかいなかった

覚悟を決めたような強い瞳で前を向いていた

『・・・靭帯損傷ですか？』

医師「はい。

靭帯損傷のレベルはさまざまですが、羽生さんの場合は

快復するのに最低でも2ヶ月、完治には3ヶ月以上は掛かると見込まれます。」

「3ヶ月・・・」

隣に座ってるAが小さくつぶやいた

最低で2ヶ月か

ギリギリ平昌に間に合うかどうか

やっちまったな、俺

よりによって何でこんな大事な時にやっちゃうかな、俺

‐翌日‐

チームのスタッフとも話し合って、NHK杯は棄権した

カナダにいるブライアンとも相談して、治療と並行してスケートの練習が出来るようにカナダへ戻る事を俺は決めていた。

『A、俺カナダに戻って練習するから。』

「うん、分かった。いつ？」

『出来るだけ早い内に戻る。早く治療始めた方が良いし。』

「そうだね。明日？明後日？」

俺が勝手に怪我して、勝手に今後の予定を決めてる。

こんなのただのわがままなのに、

Aは文句ひとつ、泣き言ひとつ言わない。

昨日だって、いつものAなら絶対泣くと思ったのに泣かなかった

今だって俺と一緒に戻るのが当たり前のように振る舞ってる

『怒んねえの？』

「どうして？」

『俺がこんな怪我しなきゃ A 今ごろ・・・っ・・・っ』

Aの予定を狂わせた申し訳なさと怪我した悔しさとが心の中で混ざり合って

堪えきれなくなって涙が溢れ出して止まらねえ

『ごめん・・・っ・・・A ごめっ・・・』

「良かったね？結弦くん」

『・・・？』

「結婚してて良かったね。

だってもし結婚してなかったら

結弦くん、集中する為！とか言ってわたしと距離置いたと思うもん。

今なら2人一緒にいられるから、2人で頑張ろうね」