Forevermore (ページ25)

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結弦くんの試合期間中に自分だけ遊ぶのは悪いかな？と思って、帰国する前にお伺いを立ててみたら、

「別に良いよ。俺が会場入りしたらAはする事ないんだから好きにしな」と言われた。

やった、茉優ちゃんとご飯に行ける！と思ってLINEに返事を送った後に、

あれ？

もしかして、わたしの自由時間って結弦くんの試合が終わる前後数日だけ？という事実に気付いて、

もうちょっとだけ試合数増えないかなと心の底で願ったのは内緒だ。

‐翌日‐

『ありがとうございました』

順調に収録が終わり、楽屋に戻る。

習慣になっているスマホチェックをするためにiPhoneをバッグから取り出すと、わたしが戻って来るまでの間に結弦くんから着信が3件も入ってた。

『なに・・・3件？』

全身から血の気がサァと引いていくのがわかった。

今日はわたしが仕事だって分かってるから、よっぽどの事がなければ、この時間に電話なんてかけてこないはず・・・

『なにかあったんだ』

頭に真っ先に浮かんだのは【怪我】だった。

結弦くんは去年の4月に右足関節を故障してる。

ドクドクを脈打つ心臓を深呼吸することで落ち着かせようとするけど、全く効果はない

画面をタップする手の感覚がなかった。

trrr trrr trr

「A？」

『どうしたの？』

「ごめん、

怪我した」

すごく簡単な言葉だったのに、理解するのが難しい

1番聴きたくない言葉で、

わたしが1番恐れていた言葉

「A？」

『ごめん、うん、そっか。程度は？』

「いま、アイシングとテーピングしてる。

これから病院行くけど・・・やばいと思う」

『・・・・・』

返事しなきゃ

でも、何て言えば良いかわからない

『わかった。今から大阪いくから』

「いいよ。Aは東京にいな。

友だちと約束してんでしょ？」

『そんなのどうでもいい！』

今は他の事なんてどうでもいい！

「わかった、ありがと。

Aのケータイに病院の名前入れとくから」

『うん、ありがとう』

「急がなくていいから。気をつけろよ」

『うん、わかった』

電話を切った後は、涙を堪えるのに必死だった。

結婚する時に、結弦くんに言われた唯一のこと

「試合前に俺の状態を誰かに聞かれても

絶対に答えたり、顔に出しちゃだめ」

叫び出しそうになるのを深呼吸で紛らわせて、

荷物をまとめて楽屋を飛び出した。