Forevermore (ページ20)

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失う覚悟ページ20

「あぁやべぇ、めっちゃ緊張する」

『大丈夫だよ、優しい人だから怖くないよ？』

「優しいから怖くないとか、そういう問題じゃない・・・」

『そうかな？』

「自分だって連盟に行く時は緊張してたでしょ？」

『(確かに)・・・結弦くん、頑張ろうね！』

　どうして結弦くんがこんなに緊張しているかというと・・・

先月カナダで結弦くんにプロポーズしてもらって、2人で話し合って先に入籍だけ済ませてしまおうという結論を出したわたしたち―

　来年のオリンピックが終わってからでも良いんじゃないかとは思ったけど、
競技以外のことでメディアに騒がられるのを結弦くんが嫌がった事と、一緒にいた方が精神的にも安定するという事でこの結論に至ったけど・・・

　両親以外にも日頃からお世話になっている方達には直接報告に伺った方が良いという事で、先ほど連盟に行って報告を終えてきた。

　強化部長をはじめとする連盟の方たちは「もっと早く言ってくれれば良かったのに」とは言われたけど、最後には「おめでとうございます」と祝福の言葉をいただけた。

そして今度はわたし側の恩人にという事で、わたしの事務所にやってきたけど・・・

マネージャーの原口さんに頼んで相手方にアポイントを取ってもらい、事務所の一室で会えるように調整してもらった。

「ていうか、本当に存在するの？」

『なにが？』

「・・・神話かと思ってた」

『ポーカーフェイスだったんだね』

「はぁ？」

結弦くんが緊張してるとこ初めてみたかも・・・

コンコン

軽いノックが聞こえて、結弦くんに『大丈夫』とアイコンタクトを送ってから、2人一緒に立ち上がる。

福山「お待たせしました、遅れて申し訳ない。」

「とんでもないです。お時間を作っていただいて、ありがとうございます。」

福山「いやいや、大丈夫だよ。どうぞ座ってください。」

「『失礼します』」

テーブルを挟んで向き合う。

毎回思うけど、福山さんのオーラがすごすぎる・・・

「緊張したぁ」

福山さんが退室した後に、崩れるように椅子に座り込む結弦くん

『お疲れさま。ありがとう、結弦くん』

「良い人だね、福山さん」

『うん、そうだね』

結弦くんが伸ばしてきた左手に右手を重ねて握り合う

お互いに今日1日でだいぶ緊張して疲れちゃったけど、頑張ってくれてありがとう