Forevermore (ページ17)

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「ただいま」

『おかえり、今日はゆっくりだったね』

昨日と比べて1時間ぐらい遅めの帰宅だった。
玄関まで迎えに行くと、特に変わった様子もなく結弦くんが玄関に立っていた。

「そう？今日ジャンプの調子が良くってさ」

『そうなんだ！良かった』

「Aは？今日何してたの？」

『今日はね、すっごい美味しいパン屋さん見つけたよ！』

「へぇ、どこ？」

『どこって言われると説明しづらいんだけど・・・今度一緒に行こ！』

「俺パンよりごはんが良いんだけど」

『ちょっと！そこは嘘でも行くって言って』

もうなんで素直に行くって言えないのかな

　夕食を食べ終わってリビングにスーツケースを広げて、忘れ物がないか最終チェックする

「忘れ物ない？大丈夫？」

キッチンで紅茶を淹れながら結弦くんがこっちを見ていた。

『着替えも入ってるし、持って来たもの全部入ってるし・・・大丈夫だと思う。』

日本の自宅でこのスーツケースに荷物を詰めてるときは、ワクワクしてすごく楽しかった。

でも、帰る時のパッキングってこんなに億劫だったかな・・・

また明日から離れ離れなんだそう思うと寂しさが余計に大きくなって目に涙が溜まってくる

「・・・A？」

『・・・・・大丈夫・・・大丈夫』

ここで泣いたら、結弦くんを困らせるのは分かりきってるのに。

止めようと思っても、涙は言う事を聞いてくれなくて

「いつまでも床に座ってると冷えるよ、ほら」

腕を引かれて、2人並んでソファに座るけど、次に並んで座るのはいつになるんだろう？とか頭の中ではマイナスの事ばかり考えてしまう。

「明日何時の飛行機？」

『・・・11時』

「そっか」

重い空気が部屋中に広がってしまう。

何とかしてこの空気を変えなきゃと思うけど、全然頭に置かんで来ない。

「A

　俺と結婚してくれる？」

『え？ごめ、なに？』

今結弦くんは何て言った？

結弦くんは優しく笑ってもう一度

「俺と結婚してくれる？」

　手には世界で1番有名なわたしの憧れのジュエリーブランドのティファニーブルーの小さな箱を持っていて

『・・・本気なの？』

「冗談のために指輪まで買わないでしょ。」

「A、俺待ってんだけど？」

『よろしくお願いします』

結弦くんはそっと指輪を取り出して、左手の薬指にそれを通してくれた。