◇ ページ8
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「どういうこと？」
「どうって、…そのままだけど？」
小さくなったタバコを灰皿に押し潰すタイミングも今日は同じで
「休憩何時まで？」と言った櫻井の言葉に、透かさず「もう一本吸える」と返すと
櫻井も新しいタバコを口に咥えた。
「ん、」
「どうも」
先にタバコに火をつけた櫻井の手から、ライターを受け取り私も火をつけた。
はい、とライターを返すと櫻井はそれをポケットに仕舞い込んだあと
再び口を開けた。
「断ったけど、Aに関係ある？」
告白をどう受け取るかは本人の自由。
それは知っているけど、だけどきっとそういうことじゃない。
櫻井の思惑が全く読めないのが痛い。何もかもが掴めない。
「バカなの？櫻井」
「は？」
「バカでしょ」
「お前に惚れた俺はバカだって言いたいの？」
「・・・え」
一瞬、櫻井の口から零れた言葉を理解できなかった。
この状況で、瞬時に理解出来ないのを当然のことだ。
「好きなんだけど、Aのこと」
だけど、私の思考に追い打ちをかけるように紡がれた次の言葉は
形のいいその唇から零れ落ちたその言葉は
一瞬で理解できるものへと変わり果てた。
乱された頭の中は真っ白で、どうすることも出来ずに
タバコの灰を灰皿に落とす、その指先をただ目で追って眺めた。
「だって、櫻井…」
振り絞って、やっと口から零れた言葉。
それを全て掻き消すように
フーと櫻井の唇から吐き出された煙が私にかかって、咄嗟にギュッと目を瞑る。
目を瞑った隙に、櫻井はもう一度私を困らせた。
「俺、ミナミ先輩のこと好きじゃない」
「…え？」
「嘘だけど？」
「何が？」
「ミナミ先輩を好きっていう気持ち」
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年1月17日 18時
