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***
侑李「…というのは冗談で。」
「へっ…」
.
じょ、じょうだん…?
先ほどまでの真顔から一変して、
ふっ、と薄い笑みを浮かべる知念さん。
冗談には聞こえなかったです、というのは
心の中に留めておこう…
.
侑李「…疲れた顔してるね。」
「え…」
侑李「それにまだスーツ着てるし、こんな時間まで会社いたの?」
「えっと…」
侑李「また、何かあった?」
.
責めるような言葉なのに、どこか優しい口調。
きゅっと唇が閉じていて、艶のある瞳に見つめられて。
.
その瞳に吸い込まれて何も言えずにいると、
ふと、知念さんの視線が外れて…
そして、“何か”を見たあと、納得したかのように
呆れたようにため息をついた。
.
侑李「次はちゃんと断らないとダメだよ。」
「え、あ…」
侑李「残業。お疲れさま。」
.
知念さんがふわりと笑う。
今朝とは違う、優しい顔。
私は…しばらく固まってしまった。
だって、驚いたから。
.
残業したこと、なんで分かったんだろうだとか、
押し付けられたこと、なんで見抜かれたんだろうとか。
そして、単に機嫌が悪かったんじゃなかったのかと
ちょっとびっくりしちゃって…
.
「…どうしてこんなに気づいてくれるんですか?」
***
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作者名：まりも
作成日時：2023年8月15日 23時
