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「……は?」
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突然の言葉に、思考回路が停止する。
.
ちょっと待って。
今なんて言われたの…?
“太る”って…
何が、どうして。
この状況で、そんなことを…
.
侑李「それ。」
「え。」
.
それ…
知念さんの視線の先は、私が持ってるカゴの中。
もしかして、これのこと…?
.
侑李「お弁当2個に豚汁に、いっぱい食べるのはいいけど、
野菜もちゃんと食べないとダメだよ?
どうせ弁当に惣菜あるから大丈夫、なんて思ってそうだけど
大丈夫じゃないからね。
今は若いからいいけど、お肉ばかり食べてると
大貴みたいなワガママボディになるよ。
お酒は…まぁいいや。
僕も飲むし、おいしいし。
だけど、紅茶は別だから。
ミルクティーだから、100mlあたり10kcalだとして、
それは500mlだから、単純に5倍するとそれだけで50kcal。
それに、チョコやアイスもあるけど、
全部食べたらとんでもないカロリーになるよね。
それだけ消費するのに、どのぐらい運動が必要か分かってる?
分かってて、買おうとしてるんだよね?
駅まで歩くから問題ないとか、
軽く運動すれば平気だとかのレベルじゃないし。
まぁ風羽さんは賢いからそんなお馬鹿な考えを持ってるとは
思わないけど…」
.
「…………」
.
一気にまくし立てられて、
口が開いたまま塞がらなくなった。
知念さんが言った、”お馬鹿な考え”というものを、
確かに持っていたけれど…
.
「……っ、お…」
侑李「ん?」
「お、おかしは、別腹…デスノデ……」
.
言い返す言葉が見つからず、
知念さんからすっと目をそらす。
.
今日の知念さん、いつもより少しだけ機嫌が悪かったのは
何となく分かっていた。
忙しそうだったし、疲れてるんだろうなっていうのも
何となくわかる。
わかるけど…
ど、どういう反応をするのが正解なのかわからない。
知念さんって、こんなに毒舌だったの…?
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作者名:まりも
作成日時:2023年8月15日 23時