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「あの、これって…」
「風羽さんが出張行ってる間に溜まってた仕事。」
「え、でもこれは明後日までって…」
「一日納期がズレて、明日朝イチまでになったの。」
.
なにか文句ある?
そう言って、咎めるような視線を向けられるけど…
文句ならあります。
大アリです。
.
だって、定時後にお仕事頼んでくるのはおかしいし、
しかもこの量を明日の午前までにやるのは無理案件。
それに、前に知念さんも言ってた…
こういうときは、“逃げてもいい”って。
だから……
.
「…っ、あの、お言葉ですが……」
「それにそれ、知念さんの急ぎの仕事だから。」
.
言いかけた言葉が、喉に詰まった。
.
知念さんの案件なら、断れない…
しかも急ぎなら尚更。
今日一日ずっと忙しそうだったし、
ペアの私以外、やれる人がいないじゃない…
.
「それじゃ、最後戸締りはよろしくね。」
.
勝ち誇ったような顔をさせて先輩は事務所から出ていく。
私のことが気に食わないんだとすぐに分かってしまう。
.
ここ最近、私が先輩の仕事を断ったり
残業しないで先輩より早く帰ってたし…
これは世に言う、後輩を使った”ストレスの捌け口”ってやつだ。
…こんな大人にはならないようにしよう。
.
「はぁ…」
.
本日三度目のため息。
.
ざっと見たところ、量は多いけど
中身はどれも簡単なデータ打ち。
しかも、急ぎって言ってたけど
これまだ納期まで余裕がある…
でも、急に必要になったのかもしれないし、
さっさと終わらせて、早く帰ろう…
.
「…よし。」
.
ぐーっと軽く伸びをして。
スリープ状態のPCをもう一度立ち上げた…
***
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作者名：まりも
作成日時：2023年8月15日 23時
