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「だけど太陽くん、どうして私のこと
方向音痴だと思ったんだろう…」
.
ふと感じた疑問を無意識に口に出す。
だって私方向音痴じゃないし、この子に会ったのだって
今日が初めてなのに…
.
侑李「…風羽さんとあの子、似てるからじゃないかな。」
「え…」
侑李「この子の母親、方向音痴だから。」
「そ、そうなんですか…」
.
知念さんはそう答えてくれるけど、
この前見せてもらった有岡さんの奥さんの写真…
私と似てたっけ…?
写真に写った花嫁さんはもっと可愛らしい人だった。
.
もわもわっとそんなことを考えていたら
下から、ねぇ、とかわいい声。
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「おねぇちゃん、おなまえは?」
「あ…風羽、Aです。」
「Aちゃん、つ、つきあってる…ひと、いる?」
「んぇっ!?」
.
思わず変な声出る。
光くんは小首を傾げて、知念さんは…
.
侑李「…っ、くく…」
.
一瞬ぽかんとしたけど、私の変な声が面白かったのか
肩を震わせて笑っている。
やっぱり知念さんって、
性格がちょっとSなんじゃ…
.
「どうしたの?」
「う、ううん!えっと、付き合ってる人…今はいないかな。」
「ほんとう!?」
「う、うん!」
.
私の答えにパァッと顔が明るくなる太陽くん。
“太陽みたいに明るい”って
こういうことを言うんだなとしみじみ思う。
やっぱりかわいい…
.
「じゃあさじゃあさ!」
.
私の手を持ってぶんぶんする太陽くん。
若干腕が痛いけど、微笑ましくて
ん?と聞き返すと、予想外すぎる言葉が放たれた。
.
「Aちゃん、ぼくの家に行こ!」
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作者名:まりも
作成日時:2023年8月15日 23時