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***
「ど、どうしたの…?」
「いない…」
「え…」
「ちー、いない…」
.
5歳くらいかな。
しゃがんで目線を合わせると、
ギュッと拳を握りしめてるのが見えた。
.
光「Aちゃん、知り合いなの?」
「う、ううん…」
「ちー、どっか行った……」
.
小さな腕を伸ばして、ぎゅっと私に抱きついてくる
小さな男の子。
突然抱きつかれたことに驚いた私は
思考回路が止まって。
助けを求めようと光くんを見ると
顎に指を当てて、男の子をじっと見ていた。
.
光「…この子、どっかで見たことあるくない?」
「へ…」
光「ぼく、お顔見せてくれるかな?」
.
光くんに言われた男の子は、
おずおずと顔をゆっくりあげる。
.
大きなくりくりの瞳とふわふわの髪の毛。
確かに、光くんの言うとおり誰かに似ている。
というか、前にどこかで見たことがあるような…
.
光「ぼく、おなまえは?」
.
そんなことを考えていると、光くんもしゃがんで
男の子と目線を合わせていた。
.
「たいよう…」
光「よし、たいよう。最後に“ちー”がいた場所覚えてるか?」
「お、覚えてる!」
光「わかった!じゃあ行こう!」
「うんっ!」
.
おろおろする私のは正反対で
安心させるように光くんはにっこり笑う。
そんな光くんに安心したのか、男の子からは不安な表情が消えて、
小さな手で私の手をぎゅっと握った。
.
「あのね、ちーはあっちにいたよ!」
***
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作者名：まりも
作成日時：2023年8月15日 23時
