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***
「あれ…」
.
光くんの頭を触ってふと気づいた。
後頭部の青く染めた髪色。
まさか…
.
光「あの、Aちゃん。いつまで触って…」
「光くん…」
光「うん?」
.
ジッと私を見つめる平行型二重の瞳。
うん?の言い方がやっぱり優しい…
.
「…ハゲるよ?」
光「は?」
.
私の言葉に近距離ですっとんきょんな顔になる光くん。
私は光くんの頭をグッと寄せて、思わずため息が出た。
.
「また染めてる。」
光「あ…バレた…?」
「黒スプレーしてるけど、バレてます。」
光「あはは…」
「似合ってるけど、ダメージでいつかツルピカになる。」
光「うっ…」
.
私から一瞬目を逸らして、曖昧に笑って。
だけど、観念したのか、
小さな声で“すんません”と呟いた。
.
光「これ、会社には秘密ね?」
「言いません。」
光「ほんとにね!?頼む!」
「言わないよ。」
.
年下の私に必死に頭を下げる光くん。
仕事の時とは全くの別人だけど、
プライベートではいつもこうだったっけ…
.
また“むかし”を思い出して笑みが溢れて。
そんなとき、ツンツンとズボンの裾を引っ張られた。
.
「え…」
.
振り向くと、そこにいたのは小さな男の子…
唇を噛み締めて、今にも涙が溢れだしそうな目で
私を見ていた。
***
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作者名：まりも
作成日時：2023年8月15日 23時
