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久しぶりに口にしたその名前。
やっぱりちょっと、照れくさい。
だけど、“光くん”は何も気にしてない様子で
くしゃくしゃっと笑うだけ。
.
光「それで、どこ行こうか?」
「うーん、無難にデパートとか?」
光「いいね。俺も見たいのあったし。」
.
敬語もいつの間にか取れて、
本当に昔に戻った感覚になる。
“光くん”、“Aちゃん”、なんて
いつぶりだろう。
.
光「お、いいのあんじゃん。」
「キャンプ…?」
光「そそ、最近ハマってんのよね。」
.
光くんに連れてこられたのは、
アウトドアのスポーツ用品店。
一つ一つのキャンプ道具を手に取って
光くんの目がきらきら輝いている。
.
「意外…光くんキャンプ好きだったんだ。」
光「そう?最近休の日はもっぱら一人キャンプしてるよん。」
「キャンプって、何するの?」
光「んー、コーヒー飲んでぼんやりしたり。」
「へぇ…」
光「Aちゃんもどう?楽しいよ?」
「うん、楽しそう。」
光「ふふ、じゃあいい道具あるよん。これとか…」
.
光くんの言葉に頷くと、次は初心者におすすめの
キャンプグッズをレクチャーしてくれる。
.
自分の好きなものは何でも教えてくれる。
だけど、光くんは押し付けとかそういうのじゃないんだよね。
本当に好きになってもらいたいという気持ちが伝わってきて、
何度も知らない世界に連れてってくれた。
.
光「そんでね、女の子におすすめのテントはね…」
.
目を輝かせながら無邪気に説明してくれる光くんを見て
そんなことを思い出していた…
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作者名：まりも
作成日時：2023年8月15日 23時
