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光「よく分かんないけど、よかったじゃん。」
「わっ…」
.
八乙女さんの大きな手が頭の上にポンと乗り、
思わず顔を見上げる。
ほんの少し垂れた八乙女さんの目と目が合って、
ずっと変わらない、柔らかな印象に安心してしまう。
.
「…っ、八乙女さん、髪の毛ぐしゃぐしゃになります。」
光「ごめんごめん。」
「もう…」
.
慌てて手櫛で髪を整える。
前髪は…たぶん大丈夫。
謝ってはくれてるけど、あははと軽く笑って…
たぶん反省してないな。
”前から”こんなんだもん。
.
エレベーターが止まり、廊下に出ようとする。
だけど、ふと思い出して八乙女さんの方に振り返った。
.
「そうだ。おみやげ、いつ渡しましょうか?」
光「おみやげ?」
「関西出張の。向こう限定のお菓子とご当地ストラップなんですけど…」
光「え、ほんとに買ってきてくれてたの?」
「もちろんです!でも、今日持ってくるの忘れちゃって…」
光「ふふ、いつでもいいよん。おみやげありがとね。」
「い、いえ!じゃあまたあとで連絡します。」
光「ほーい。」
.
八乙女さんが手を振って、エレベーターの扉が閉まる。
.
今日は朝から八乙女さんに会えてよかった。
癒しと元気を沢山貰えたし、話も聞いてもらえたし、
お仕事頑張れそう…
.
そんなことを思いながら事務所に向かおうと
踵を返したとき…
エレベーター近くの階段を登ってきた人影に気が付いた。
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作者名:まりも
作成日時:2023年8月15日 23時