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「こ、これをですか…?」
.
さっき置かれた資料を押し除けるように
またドーンって豪快に置かれて、サァと血の気が引いていく。
ざっと見て200部。
これは無理。さすがに無理…!
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「…っ、あの!」
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ぎゅうっと拳を握る。
今回こそ断らないと。
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出来るだけ穏便に。
出来るだけ穏和に。
そして睨まれないように…!
.
「す、すみません。さすがに今日中は…」
「ごめんねぇ、今日はどうしても外せない用事があってさー。」
「へ…」
.
その言葉に眉がピクピクとなる。
だって、一昨日も同じようなこと言ってませんでしたっけ…
それに、顔の前で両手をパンと合わせるけど、
申し訳なさそうな顔をしてないのは、私の気のせいでしょうか…?
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「えー、と…ですね…」
「小さい子どもたちがいるから残業出来ないしね?」
「そ、それはそう、ですけど…」
.
お子さんは確か小学校低学年だったはず。
しかも二人….
ダメだ…
お子さんのことを出されたらもう何も言えない。
.
これ以上何も言ってこないと思った事務員さんは、
にっと口角をあげて。
はい、とホチキスを渡してきた。
.
「じゃ、よろしくお願いしまーす。」
「…っ。」
.
力を入れていた拳が中途半端なグーになって
プルプルと体が震える。
おねがいしまーす、じゃない…!
.
お子さんを出されたら断れないし、
第一、今まで何してたんですか!
さっきまで暇そうにネットサーフィンしてたの、
私知ってますから!
私だって自分の資料作成に、
押し付けられた発注にやることいっぱいなんです…
自分の仕事は自分でやってください…!
.
「…っ、わ、分かりましたー…」
.
なんて、言い返せるわけもなく
私はヘラりと笑うだけ。
おかげで、この部署に異動になってからは
残業続きの毎日で…
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まりも(プロフ) - ただのおたくさん» お越しくださりありがとうございます!ご期待に添えるお話になるか分かりませんが……まりものペースに付き合っていただけたら嬉しいです😳 (5月27日 21時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ただのおたく(プロフ) - 夏ときみの声とから来ました!ほんとに感動して、まりもさんの書く作品にもっと触れたいと思い来ました!これからこの作品を読むのが楽しみで仕方ないです...、これからも応援しています!無理せず、まりもさんのペースで更新してください! (5月22日 23時) (レス) @page1 id: 78e45d5fd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも
作成日時:2022年12月17日 23時