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「……重い、ですよね。」
侑李「なにが?」
.
私の一言に、知念さんが眉を顰めて言った。
その声はとても不機嫌そうで。
それでも、なんでかな…
知念さんだと、心の奥にある不安を
全部さらけ出せる気がした。
.
「社会人にもなって、妹に嫉妬して…
二人が結婚したのだって、もう一年も前なんです。
なのに、久しぶりに“彼ら”に会ったら
固まっちゃって、何も言えなくて…」
.
ズルズル引きずったまま。
早く忘れなくちゃって思っても忘れられなくて
いつまで経っても両親の愛情を欲している。
ずっと…頭の片隅に残っている。
.
「どうせ私なんて…一生誰からも
好きになってもらえないんです。」
.
無意識に思いが言葉になっていた。
知念さんは、ぽりぽりとこめかみをかきながら
ちょっと面倒くさそうに耳を傾けている。
.
「私なんて、頭悪いし、短気ですし。
顔だって可愛くないし、気が利かないですし、めんどくさいし…」
.
いつも言いたいことを言えないのに、
こういう事はペラペラと出てくる。
私の悪癖だ。
自分で自分の首を締め付けてるのは分かってるけど、
止まらない…
.
侑李「…よく分かってるじゃん。」
「…っ。」
.
冷淡な声が耳に届く。
はっとして、知念さんに目をやった。
……知念さんの瞳には、もろに苛立ちが
滲み出ていた。
.
侑李「風羽さんがめんどくさいのは、
僕も同意見。」
.
知念さんは唇を尖らせて言う。
鋭い目つきで睨まれて、私は萎縮して。
だけど、ふっと口元を緩めて頬杖をついた。
.
侑李「でもね、風羽さんにだって
いいところがいっぱいあると思うよ。」
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まりも(プロフ) - ただのおたくさん» お越しくださりありがとうございます!ご期待に添えるお話になるか分かりませんが……まりものペースに付き合っていただけたら嬉しいです😳 (5月27日 21時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ただのおたく(プロフ) - 夏ときみの声とから来ました!ほんとに感動して、まりもさんの書く作品にもっと触れたいと思い来ました!これからこの作品を読むのが楽しみで仕方ないです...、これからも応援しています!無理せず、まりもさんのペースで更新してください! (5月22日 23時) (レス) @page1 id: 78e45d5fd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも
作成日時:2022年12月17日 23時