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「は…」
.
予想外の言葉にぽかんと口が開く。
知念さんは言葉を捜すように揺れる瞳を泳がせて
、
私に視線を戻した。
.
侑李「さっきのやつ。状況は分からないけど、
風羽さんは悪くないと思う。」
「だから、それはどういう…」
侑李「風羽さんは一人になりたいんだろうけど
一人になったら変なこと考えそうだから。」
.
知念さんの言葉が、じわりと胸にきた。
それから、図星を指されてどきっとした。
だって、その通りだったから。
.
部屋に戻るまでは知念さんがいてくれたから
考える余裕はなかったけど…
一人になった途端、
苦しくなって自分が嫌になった。
.
侑李「あの、だから…」
.
何かを一生懸命伝えてくれようとして。
だけど、私は上手く読み取れなくて。
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私も知念さんも、下に俯いたり視線を戻したりして
目が合うことはない。
だって、お互い人見知りで口下手。
.
それでも、知念さんが何を思っているのか知りたくて
私はゆっくり口を開いた。
.
「何も聞かないんですか…?」
侑李「……聞いてほしいなら聴きます。」
「いえ…」
.
知念さんが袋からペットボトルのお茶を取り出して
ゴクリと喉を鳴らして、一口飲む。
それから、袋の中から別のおにぎりを取り出して
食べる?と差し出してきた。
.
「はい…いただきます。」
侑李「どうぞ。」
.
パリッと海苔の音がなって、今度は昆布の味が広がる。
飲み込むと、満たされた気持ちになって
ふっと心が軽くなって。
.
安心したからか、知念さんの“優しさ”に触れたからか、
みるみる内に瞳いっぱいに水分が溜まってきた。
.
「私…誰からも必要とされてないんです……」
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まりも(プロフ) - ただのおたくさん» お越しくださりありがとうございます!ご期待に添えるお話になるか分かりませんが……まりものペースに付き合っていただけたら嬉しいです😳 (5月27日 21時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ただのおたく(プロフ) - 夏ときみの声とから来ました!ほんとに感動して、まりもさんの書く作品にもっと触れたいと思い来ました!これからこの作品を読むのが楽しみで仕方ないです...、これからも応援しています!無理せず、まりもさんのペースで更新してください! (5月22日 23時) (レス) @page1 id: 78e45d5fd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも
作成日時:2022年12月17日 23時