38 ページ38
***
侑李「ふぅ…初めての営業はどうでした?」
「き、緊張しました…」
侑李「ふふ、だよねぇ…」
.
一社目の営業が終わり、次の取引先に移動中の電車の中。
ほんの少しネクタイを緩めた知念さんがふわりと笑う。
.
「ち、知念さんは緊張、とか…」
侑李「する…というか、営業はやっぱニガテ。」
「え、そうなんですか…?」
侑李「うん、いつもは大貴に任せっぱなしだから、今日は余計に。」
.
そう言いながら、タブレットを取り出して
次の取引先の資料をじっと見つめる。
私も慌てて資料をチェックして
チラリと知念さんの横顔を見る。
.
さっきの知念さん、すごかった。
”緊張した”なんて言っていたけど、営業トークは完璧だったし、
私は知念さんの隣でメモを取るのに必死。
普段のデスクワークからは想像が付かなくて
私もいつか、こんなふうになれるのかな…
.
「あ…」
.
ふわりと、電車の窓から風が吹き、
睫毛にかかる前髪が、知念さんの瞬きに合わせて揺れる。
う、わ…睫毛なが。
それによく見ると、知念さんの口ってアヒル口なんだ…
.
侑李「…ねぇ。」
「あ、はい。」
侑李「何見てるの?」
「へ…」
.
ずっとタブレットを見つめていた瞳が、
いきなり私を捕える。
.
「な、何って…」
侑李「ずっと僕の顔見てたみたいだけど…
…何かあるの?」
***
143人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まりも(プロフ) - ただのおたくさん» お越しくださりありがとうございます!ご期待に添えるお話になるか分かりませんが……まりものペースに付き合っていただけたら嬉しいです😳 (5月27日 21時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ただのおたく(プロフ) - 夏ときみの声とから来ました!ほんとに感動して、まりもさんの書く作品にもっと触れたいと思い来ました!これからこの作品を読むのが楽しみで仕方ないです...、これからも応援しています!無理せず、まりもさんのペースで更新してください! (5月22日 23時) (レス) @page1 id: 78e45d5fd1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まりも
作成日時:2022年12月17日 23時