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***
「お、おはようございます…!」
侑李「あ、おはよ。」
.
出張一日目の早朝。
待ち合わせ場所に行くと、集合時間10分前にも関わらず
すでに知念さんが到着していた。
.
「すみません、遅くなりました。」
侑李「いや、僕が早く着いただけだから。」
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いつもは制服姿だけど、今日はスーツ姿。
何だか新鮮で、雰囲気が違って見える。
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「…っ、今日はよろしくお願いします!」
侑李「こちらこそ。…緊張してる?」
「は、はい。出張、初めてで…」
侑李「へぇ…初めてなんだ。」
.
ホームまでの他愛のない会話。
乗場に着いて指定席を探す。
知念さんが窓側で、私は通路側。
座席が見つかって、そこに腰掛けると、
その座り心地に思わず声を漏らした。
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「わっ、すごい…」
侑李「ん?」
「ふかふかしてる…」
.
新幹線なんて、学生時代の修学旅行以来だし
ビジネスクラスなんて初めて。
やばい…
仕事ってこと、忘れてしまいそう…
.
侑李「…ぷっ。」
.
そんなことを思っていると、
隣から吹き出した声が聞こえてきて。
思わずそちらの方を見ると、窓側を向いた知念さんの肩が
上下に揺れている…
.
侑李「やっ、ごめん…笑ってないから。」
.
そう言うものの、頬が吊り上がっている。
まるで私が思っていたことを読み取ったみたいに
おかしそうに、クスクスと。
知念さんって、何となくだけど…
本当に何となくだけど、何でも見透かしてそうだし。
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「す、すみません…」
.
ふつふつと身体の中が熱くなる。
これと同じようなこと、前にもあった気がする。
社会人として恥ずかしい…
.
んんっと咳払いして、わざとらしく資料を見つめて。
それでも隣の知念さんはまだ声を出さずに笑っている。
あぁもう。
我慢しないで、どうぞ思いきり笑ってください…
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まりも(プロフ) - ただのおたくさん» お越しくださりありがとうございます!ご期待に添えるお話になるか分かりませんが……まりものペースに付き合っていただけたら嬉しいです😳 (5月27日 21時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ただのおたく(プロフ) - 夏ときみの声とから来ました!ほんとに感動して、まりもさんの書く作品にもっと触れたいと思い来ました!これからこの作品を読むのが楽しみで仕方ないです...、これからも応援しています!無理せず、まりもさんのペースで更新してください! (5月22日 23時) (レス) @page1 id: 78e45d5fd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも
作成日時:2022年12月17日 23時