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だけど、返ってきたのはあまりにも予想外のもの。
驚いて身を起こすと、初めて知念さんと目が合った。
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「何でって…」
侑李「だって風羽さん、いつも人一倍周りに気遣って頑張ってるし。」
「いや、でも…」
侑李「それにそれ、風羽さんの仕事じゃないでしょ?」
「そう、ですけど…」
.
目が点になる。
だってまさか、知念さんがそんなこと言ってくれるなんて
思わなかったし。
嫌われてると思ってたのに、
ちゃんと見てくれていたなんて思わなかったし…
.
侑李「それ、ちょうだい。」
「え、あっ…」
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知念さんの手がスッと伸びてきて
書類を一枚手に取った。
.
「え、あ、あの…」
侑李「一人でやるより分担した方が早く終わるよ。」
.
耳のすぐ近くで、知念さんの声が聞こえて
妙にドキドキしてしまう。
柔軟剤の香りがほんのりして、心臓が落ち着かない。
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「…っ、お手を煩わせてすみません…
お気遣いありがとうございます。」
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ドギマギしてるのを悟られないようにそう言って無理矢理口角を上げると、
知念さんがふと口を開いたら。
.
侑李「…このあと予定は?」
「え?」
.
ふいに、知念さんが何か呟いたんだけど
聞こえたような、聞こえなかったような。
思わず小首を傾げると、さっきよりほんの少し強い口調で
だから、と言ってくる。
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侑李「予定、ある?」
「え…い、いえ!特には…」
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つい反射的に首を振る。
そうすると、知念さんの目が少しだけ細くなって
口角が緩やかに上がった。
.
侑李「じゃあご飯、行こうか。」
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まりも(プロフ) - ただのおたくさん» お越しくださりありがとうございます!ご期待に添えるお話になるか分かりませんが……まりものペースに付き合っていただけたら嬉しいです😳 (5月27日 21時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ただのおたく(プロフ) - 夏ときみの声とから来ました!ほんとに感動して、まりもさんの書く作品にもっと触れたいと思い来ました!これからこの作品を読むのが楽しみで仕方ないです...、これからも応援しています!無理せず、まりもさんのペースで更新してください! (5月22日 23時) (レス) @page1 id: 78e45d5fd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも
作成日時:2022年12月17日 23時